人気沸騰の「X100VI」実写レビュー! 最強のスナップカメラといっても過言ではない

By 鹿野貴司

X100VI ブラック

2011年発売の初代X100はXシリーズ自体の初号機でもあり、以後1年半〜3年で新しいモデルが登場した。6代目にあたる「X100VI」は先代の「X100V」から4年空いての発売。本体色は先代と同じシルバーとブラックの2色だ。

基本的なデザインも「X100V」とほぼ変わらないが、手ブレ補正の搭載で厚みが2mm増し、質量も43g増えた。僕は代々X100シリーズを使ってきたが、手にすると安定感が増したのを感じる。

センサーやAFが進化し待望の手ブレ補正も搭載

大きなトピックはセンサーが2610万画素から裏面照射型の4020万画素に、そしてシリーズで初めて5軸6段相当の手ブレ補正が搭載されたこと。これまでのX100シリーズは軽さゆえに手ブレを起こしやすく、夜間や室内では描写が甘くなることもあった。それが「X100VI」は1/15秒〜1/60秒でかなりの枚数を撮影しても手ブレは皆無。センサーが高画素化したこともあり、精細感が増した印象を受ける。

細かな操作部分も改良されており、使い勝手も向上している。たとえば「X100V」ではなぜここに、という疑問が拭えなかったドライブモードボタンは押しやすい位置へ移動。「X100V」では上向きこそ90°動くが、下向きは30°しかチルトしなかった背面液晶も、「X100VI」では45°まで動くようになった。

フィルムシミュレーションは「GFX100 II」で好評の「リアラエース」など、3種類が追加され計20種類に。また数字では表れにくい部分だが、AFの速さや精度、とりわけ顔認識の能力が「X100V」より確実に向上。最強のスナップカメラといっても過言ではない出来だ。

注目ポイント

デザインやサイズは従来モデルを踏襲

正面からの外観はほとんど変わらず、サイズも高さと横幅は同じ。ハイブリッドビューファインダーの切り替えレバーが「X100V」は赤く塗られていたが、「X100VI」はそれがなくなったくらいだ。

左が「X100VI」、右が「X100V」

写真を撮る楽しさが味わえる操作系

アナログな操作系や主な要素は初代から変わらず。フラッシュを内蔵し、ファインダーは液晶と素通しをレバーで切り替えるハイブリッドビューファインダーを採用している。

右手で操作できるドライブモードボタン

ドライブモードボタンが右手親指で押せるようになった。前モデルの「X100V」ではもっと左にあり、右手が届かないので左手親指で押すと、アイセンサーを塞いで背面液晶が消えてしまうことがあった。

ボディサイドにAFモードスイッチを装備

AFモードスイッチは「X100V」と変わらず。個人的にはシングルとコンティニュアスを切り替えることが多いので、真ん中をマニュアルにしてくれると快適なのだが……。

実写作例

最新センサーよるトーンの美しさが◎

画像を拡大すると、「X100V」から精細さやトーンの美しさが格段に向上している印象を受ける。ベース感度がISO160からISO125に下がり、内蔵のNDフィルターを併用することで、F2の明るさを表現に使いやすくなった。

富士フイルム X100VI 絞り優先オート F2 1/340秒 ISO125 WB : オート フィルムシミュレーション : クラシッククローム

人気のカラーネガ「REALA ACE」を再現

自然な色再現と適度なメリハリがあるフィルムシミュレーション「REALA ACE」で撮影。さらにX100シリーズでは初搭載となる「スムーススキン・エフェクト」を強に設定すると、肌が滑らかに再現された。

富士フイルム X100VI 絞り優先オート F2 1/750秒 ISO125 WB : オート フィルムシミュレーション : REALA ACE

高画素化と手ブレ補正でクロップ撮影が快適

高画素化により、70mm相当にクロップしても記録画素は1000万画素強。手ブレ補正の搭載もあって、より活用しやすくなった。ちなみにクロップで撮影しても、RAWでは本来の35mm相当で記録される。

富士フイルム X100VI (70mm相当) 絞り優先オート F2 1/45秒 ISO125 WB : オート フィルムシミュレーション : REALA ACE

高品位なスナップにモノクロが似合う

モノクロの美しさもXシリーズの魅力。フィルムシミュレーション「ACROS」は階調性に優れており、モニターはもちろんだが、レタッチしてプリントしたときに映える。

富士フイルム X100VI 絞り優先オート F5.6 1/250秒 ISO640 フィルムシミュレーション : ACROS

FUJIFILM X100VI

X100VI シルバー

発売日 2024年3月28日
参考価格 281,600円 (税込)

カラー シルバー、ブラック
撮像素子 約4020万画素 X-Trans CMOS 5 HRセンサー
画像処理エンジン X-Processor 5
レンズ フジノン 23mm F2 II (35mm判換算 35mm相当)
ISO感度 ISO 125~12800 (拡張 ISO 64 / 80 / 100 / 25600 / 51200)
AFシステム コントラストAF+位相差AF (コントラスト −2.0EV、位相差 −5.0EV)
手ブレ補正 5軸補正6.0段
ファインダー [OVF] 視野率約95%、倍率約0.52倍 [EVF] 約369万ドット有機EL、倍率0.66倍
液晶モニター 3.0型 約162万ドット (チルト式・タッチパネル)
動画性能 6.2K・DCI 4K HQ・4K HQ/30P、4K/60P対応
大きさ 幅128.0×高さ74.8×奥行き53.3mm (最薄部 33.2mm)
質量 約471g (本体のみ)、約521g (バッテリー、記録メディアを含む)

※参考価格は記事執筆時点の直販価格です。

Amazonギフトカードが当たるアンケート実施中! 写真をプリントしてますか?

© 株式会社ワン・パブリッシング