外食産業もつらいでしょうが…野菜高騰、家計を直撃「もはやぜいたく品」 キャベツ前年の290%、増える小分け販売

値上がりしたキャベツを品定めする買い物客=24日、鹿児島市大黒町のスーパーハルタ

 2月の長雨や3月の冷え込みなどの影響で、野菜類の卸売価格が高騰している。中でもキャベツは前年同期と比べ約3倍に。鹿児島県内のスーパーでは野菜類が軒並み値上がりしており、買い物客からは「ぜいたく品になった」とため息が漏れ、売り場からは関連商品への影響を懸念する声も聞かれた。

 鹿児島市中央卸売市場青果市場によると、キャベツをはじめ通常は4月以降増えるトマトやキュウリ、ピーマンといった果菜類も出荷量が激減。5月1~23日の卸売価格を前年5月と比べると、キャベツのキロ平均単価は290%、青果全体でも4月は114%、5月は133%だった。

 「野菜は好きだけど、今は高すぎる」と漏らすのは、同市の無職梅田和典さん(76)。節約を心がけており、みそ汁や肉じゃがなどを「数日かけて食べている」と明かす。店頭では、例年1玉160円ほどのキャベツが280円前後の値を付ける。同市易居町の主婦吉田貴子さん(54)は「どの店に行っても、全体的に1.5倍くらい高くなった」と苦笑。値札を見比べながら品定めしていた。

 影響は売り場にも変化をもたらしている。同市大黒町のスーパーハルタは、比較的値段の安定している産地直送品コーナーを拡大して対応。同市西谷山1丁目の「Aコープ谷山店」は、小分け品といった少量多品目を心がけるなど、買い控え対策を取る。

 ただ「野菜以外への余波も気がかり」と話すのは、Aコープ谷山店の駒走則行青果部門長。例えば3月の霜害で生産量が激減したウメでは、買い控えが梅干しを漬ける瓶や赤じそなど関連商品にも響く。仕入れ値1200円のウメに980円の値札を付けた。

 鹿児島中央青果の山下和則野菜部長(57)は「今後は後続産地からの出荷があり、数量が安定すれば値段も落ち着いていくだろう」と分析した。

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