サシバの次の“顔”はオリーブ 市貝で協議会発足 新たな特産品へ期待

商品化に向けてオリーブオイルを試飲する協議会の会員

 【市貝】サシバに次ぐ地域の顔に-。町農業委員会や町農村生活研究グループ協議会の関係者らでつくる「町オリーブ協議会」が4月19日、発足した。2年前から準備を進めてきたもので、関係者は町の新たな特産品創出への期待を込める。同協議会の小塙美以(こばなわみい)会長(70)も「早い段階でオリーブの実や葉を使った商品を開発し、それを地域活性化につなげたい」と意欲を示している。

 オリーブ栽培のきっかけとなったのは、2022年6月の定例町議会の一般質問での耕作放棄地解消に向けた提案だった。翌春には町と町農業委員会の有志が試験栽培をスタートさせ、今春、協議会設立までこぎ着けた。

 オリーブは地中海沿岸や中近東が原産とされる常緑樹。降雪の多い地域でなければ、国内でも栽培が容易にできる。実は食用油や漬物などとして広く使われているが、葉も茶葉として商品化されている。近年、生活習慣病予防の健康食品として浸透してきた。

   ■    ■

 芳賀地区の周辺自治体にはイチゴ、メロン、ナシ、ユズといった果物、果樹が全国的に高い知名度を誇っている。しかし町ではそこまで独自性がある農産物はなく、関係者もオリーブが町の知名度を高めてくれることを期待している。

 国内ではオリーブの生産地として香川県の小豆島が有名だが、福井県や広島県でも地域活性化につなげる動きが出ている。東日本では福島県いわき市に「地植えの北限」をうたい栽培に取り組む法人があり、同協議会も昨年11月に先進地視察として同所を訪れた。

 視察に参加した町農業委員会事務局の生井克典(なまいかつのり)さん(33)は「オリーブは余す所なく商品化できる。実や葉はもちろん、枝を蒸留酒のジンに使えないかと検討を始めている所もある」と可能性の大きさをアピールする。

   ■    ■

 町では既に昨年4月、定植指導講習会を行い、その後も真岡北陵高と連携しながら商品化の検討、町民祭での苗木販売、オリーブ抹茶を使用した菓子作りなどに取り組んできた。定植指導で植えた苗木は耕作放棄地約20カ所、約200本に及ぶ。

 協議会発足後の4月26日にも文谷(ふみや)地区で定植作業を実施。会員らが茶葉用の3年木80本を1時間ほどで植えた。順調にいけば秋には茶葉を収穫し、来年には商品化ができる。現在は3~4年木の苗木の定植が進むが、数年後からは収穫した実の商品化も目指す。

 オリーブを使ったまちおこしは県内では初めての試みで、関東地域でも先進地区となる。耕作放棄地解消、特産品の創出など地方の自治体にとっては夢が広がる話だ。生井さんは「今は専門的な会員による組織だが、将来的には一般から会員も募り、民間の活力を生かした団体にしたい」と今後の方向性を語った。

町オリーブ協議会の会員たち
オリーブ抹茶を使ったパウンドケーキ
オリーブ抹茶を使ったクッキー

© 株式会社下野新聞社