生理になるとご飯を食べない小型犬…最も有効な治療法は? 重い病気に発展する可能性も【ペットドクター相談室】

8歳になった女の子です。11月1日に生理になってごはんを食べなくなり、90日全然食べてくれないので回復期ケアの缶詰を毎日35グラムスプーンで食べさせていました。今月に入り少し食欲も出たみたいでおやつを食べてくれる様になったのですが、ごはんはスプーンからしか食べてくれません。口に押し込んでゴッくんさせてます。毎年この様な状態で今年は特にひどいです。2キロほどの犬なので避妊手術も怖くできません。お腹がすけば、ドライフードを食べるかと思って置いてあるのですがなかなか食べてくれません。ずーっとこの状態なのかと気が重いです。何かいい解決方法などありましたら教えていただきたく相談しました。(ヨークシャテリア、ももかさんの相談)【お答えします】 福井県獣医師会 開業部会 田辺獣医科病院(福井県敦賀市)生川亮一郎獣医師

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 ご質問ありがとうございます。発情期に関係する食欲不振については日常の診察でも相談を受ける機会が多く、飼い主様にとって悩みの種となってしまうことがあるようです。原因は性ホルモンによるものであるため、明確な治療法はありません。輸液などの支持療法や、発情期の終了によって体調が自然に回復することを待ちます。

最も有効な予防方法は?

 予防策としてはやはり、不妊手術(卵巣の摘出もしくは子宮卵巣の全摘出)が最も有効です。発情期に関連する体調不良だけでなく、生殖器疾患の予防にもつながります。

 全身麻酔での手術となるため、抵抗感を持ってしまう飼い主様もいらっしゃいます。しかし、不妊手術は各病院にて日常的に安全に実施されている手術です。さらに全身麻酔のリスク因子は年齢ではなく、あくまでも身体の健康状態であるため、術前検査にて異常が見られなければ手術は可能です。不妊手術を迷われている飼い主様は、かかりつけの動物病院とよく相談してください。

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重い病気に進む可能性も…

 以上の内容に加えて、質問者様のワンちゃんは8歳である事と発情期の体調不良が毎年である事を考慮すると、卵巣疾患や子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)などのさらに重い病気に進展してしまう可能性もあります。現時点で不妊手術を希望されない場合は、かかりつけの病院の検査・治療を受けてもらいながら、回復を待ってください。

 さらにはこれからの毎年の発情期終了後2~3カ月の間、食欲低下の他に飲水量・尿量の増加や、外陰部からのおりもの(膿)が見られないかにも注意してください。

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