「これ以上の対策は難しい」生産者ら落胆 那須塩原で豚熱 厳しい対策徹底でも再発

防疫措置を行う職員らが集まる施設の準備を進める関係者=26日午後8時半、那須塩原市内

 那須塩原市の養豚場で26日、県内6例目の豚熱(CSF)発生が確認された。今回の養豚場では3年前にも豚熱が発生し、国の疫学調査で発生要因の可能性を指摘された点は改善されたはずだった。県の定期検査でも問題がなかった中での再感染に、関係者は衝撃を受け「これ以上の対策は難しい」と苦悩を深めている。

 「大変ショックだ。ほんのわずかな隙でも攻め込まれてしまうウイルスなのか」。福田富一(ふくだとみかず)知事は26日の記者会見で、厳しい対策を取ってきた中での再発に落胆をあらわにした。

 今回発生した養豚場では前回の発生後、要因などを調べた国の疫学調査の結果を踏まえ、豚舎間に鳥の飛来を防ぐネットを設置するなど対策を強化してきた。飼育再開後も県による立ち入り検査で防疫対策を確認し、ワクチン接種も問題なく行われていた。

 福田知事は「県と連携しながら現場では十分対応してくれていたと認識している。それでもだめということを改めて養豚業者に伝え、さらに対策を強化することに注力したい」と強調した。

 一方、生産現場からは「これ以上の対策は難しい」と困惑の声が上がる。

 県央の養豚業経営の男性によると、県の検査では防疫対策や衛生管理状態などについて細かく確認されるという。指摘を受ければ速やかに見直し、改善箇所の画像と共に報告する。

 「県の検査や指導は本当に厳しい」と漏らし、「どの養豚場も対策を徹底している。今以上の対策を講じるのは難しいのでは」と肩を落とした。

 那須塩原市は26日午後、渡辺美知太郎(わたなべみちたろう)市長を本部長とする市豚熱対策本部会議を設置した。今後県などと連携し、感染拡大防止に向けた対応を行っていく。

 渡辺市長は「3年前にも経験しているので、県と連携してしっかり防疫態勢を築くとともに風評被害対策にも取り組んでいく」とコメントした。

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