毎年ツバメが訪れる郵便局の名物局長…退職しても営巣記録やカラス対策 福井県福井市の社北郵便局 厳しい暑さで悲劇の年も…今年は「無事巣立って」

親ツバメからえさをもらうひな=5月22日
今年も営巣しているツバメを見守る多田さん=福井県福井市若杉4丁目の社北郵便局

 福井県福井市の社北郵便局では、店舗出入り口付近に毎年ツバメが営巣する風景が風物詩になっている。昨年度まで局長を務めた男性は「今年も無事に巣立ってほしい」と、退職した今も“春の使者”を見守り続けている。

 男性は多田太さん(65)=同市開発4丁目。ツバメが出入り口付近の看板に巣作りするようになった2020年から、営巣の記録を付けたり、カラス対策を施したりするなど保護活動を続けてきた。

 出入り口には「頭上に注意! つばめさんの巣があります」との注意書きが貼られているなど、多田さんの保護活動は郵便局の風物詩に。同郵便局の職員も「市内郵便局の中でも名物になっていて、お客さまもツバメの巣を気にかけてくれている」と話す。

⇒【写真】今年も営巣しているツバメを見守る多田さん

 ただ、昨年は2回抱卵したうち、2度目は6月ごろから暑さが厳しくなり、ひなが全滅した。近年の気候の変化はツバメたちにも大きな影響を及ぼしている。多田さんは「けなげに子育てに励むツバメたちの姿を通して、自然環境に関心を寄せてもらうきっかけになれば」と、現職中には郵便局を訪れた児童たちに営巣の現状も伝えてきた。

 今年も3月下旬ごろから巣作りが始まり、5月上旬にひながかえった。多田さんは「人が出入りして外敵のカラスも近寄りにくい場所だからこそ、安心して子育てできるんだと思う。営巣できる環境がたくさん残っていってほしい」と目を細める。

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