高1自殺損賠訴訟で鹿児島県が和解方針 遺族へ謝罪、再発防止へ教職員研修継続 関係議案を提出

 鹿児島県立高校1年の男子生徒=当時(15)=が2014年8月に自殺した問題で、学校は予見できたのに適切な対応を怠ったとして、遺族が県に損害賠償を求めた訴訟について、県は和解する方針を固めた。27日開会した県議会に議案を提出した。

 県によると今年3月、鹿児島地裁が県と遺族に和解を勧告した。和解案では、県は自殺を防げなかったことを遺族に謝罪するほか、いじめや重大事態の再発防止策として教職員研修などの取り組みを継続。遺族側は損害請求を放棄することも盛り込まれている。

 遺族は21年11月、県を相手に約4500万円の損害賠償を求めて提訴。県は自殺を予見できなかったとして請求棄却を求めていた。

 訴状によると、男子生徒は14年6月ごろから納豆巻きをかばんに入れられたり、スリッパを隠されたりしており、夏休みの補習を無断欠席していた。

 遺書はなく、17年に県教育委員会の第三者委員会は「いじめがあったとは断定できない」とした。遺族の要望で県の知事部局が設置した再調査委員会が19年、「いじめが自殺に影響を与えた」とする報告書をまとめた。

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