「こんなに忙しいとは」 大の里、賜杯の重み実感

記者の質問に答える大の里=茨城県の二所ノ関部屋

 「こんなに忙しいんだなって実感して、びっくりです」。大相撲夏場所で初優勝を飾った小結大の里は27日の記者会見で、V力士となった率直な感想を口にした。15日間の激闘を終えた直後から取材などに引っ張りだこの23歳は「今したいことは、寝たい」と眠そうに目をこすった。夢見心地のひとときを経て、新関脇として来場所に挑む。

  ●金沢カレー食べたい

 「Lカツカレーに福神漬けをおわんの半分くらいのっけて、めっちゃ食べたい」。石川に帰ってしたいことを問われた大の里が、「チャンピオンカレー」をたらふく食べたいという願望を口にすると、会見場は笑いに包まれた。

 天皇賜杯の感触をあらためて問われると「すごい重かった」としみじみ語り、小学生の頃からの夢をかなえた喜びをかみしめた。26日夕に優勝を決めてから万歳や記念撮影、パレードに祝賀会、取材と過密なスケジュールをこなしたが、表情には充実感が漂った。

 和やかな話題には終始、笑顔だったが、相撲内容や名古屋場所に話題が及ぶと、表情が引き締まった。

 11日目の大関豊昇龍戦で3敗目を喫した時には、師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)から「もう優勝はないぞ」と突き放され、賜杯へのプレッシャーが軽くなったと振り返った。千秋楽の取組前には「優勝しても喜ぶな。おまえの目標はここじゃない」と諭され、「気持ちがすごく楽になった。あらためて二所ノ関部屋に入って良かった」と親方に感謝した。

 次は、より高いレベルでの優勝を目標に掲げる。「親方から『3敗は優勝じゃない』という言葉をもらった。次は13勝、14勝、全勝で優勝できるように、さらにレベルアップしたい」と決意を込めた。目指す力士像については「日本中から応援され、愛されるお相撲さんになりたいっていうのが一番」と語った。

 今場所からちょんまげを結えるようになったばかりの大の里。関取の象徴である大銀杏(おおいちょう)を結えるようになるのは来年の可能性があり、年内に大関に昇進すれば「ちょんまげ大関」の誕生も期待される。

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