門前の仮設で孤独死 5月中旬、持病抱え 県内で初判明、4月入居の70代女性

 5月中旬、輪島市門前町の応急仮設住宅で、入居する70代女性が孤独死していたことが27日、市関係者への取材で分かった。持病が悪化して亡くなったとみられる。能登半島地震後、石川県内に整備された仮設住宅で孤独死が判明したのは初めて。専門家は、暑さが本格化するにつれて高齢者が部屋に閉じこもりがちになり、同様の事例がさらに増える恐れがあるとし、「住民同士の交流や見守り活動強化が必要だ」と警鐘を鳴らす。

 死亡した女性の40代長男(輪島市在住)によると、女性が電話に出ないことを心配した長男が、警察と消防の立ち合いで部屋に入り、倒れている女性を発見した。既に亡くなっていたという。この4日前、同じ仮設に暮らす住民がごみを出す女性の姿を見かけていた。

 長男によると、女性は地震後、市外で長女と3カ月近い避難生活を送っていた。女性は持病を抱えていたが、「子どもの世話になりたくない」とし、4月上旬に単身で仮設住宅に入った。長男は北國新聞社の取材に「もっと早く見つけてあげたかった」と悔しさをにじませた。

 この仮設住宅では、入居者の孤立を防ぐため、保健師が一人暮らしのお年寄りのもとを定期的に巡回していた。民間の買い物支援や見守り活動も行われていたが、今回の孤独死を防ぐことはできなかった。

  ●見守り支援検討

 輪島市は、市内の社会福祉法人に委託し、法人職員が仮設の住民の相談に応じたり、イベントを開催したりする「見守り支援事業」を検討し、関連死の抑制を図る。

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