「眼力」を上向かせる

 「雨のデータを出す」を縮めた…わけではなく、英語の頭文字を並べると「AMeDAS」、アメダスになるという。局地的な豪雨などを監視するシステムのことで、運用の開始から今年で半世紀になる▲1969年、列島では集中豪雨が相次ぎ、対応策が国会で議論された。なにしろ当時の気象観測は、気象庁に委託された学校や個人宅で、人が目視などで測り、データをモールス信号で送っていたらしい▲各地に無人の観測機器が置かれ、自動で雨量、気温などを測る-。アメダスとはどれほど画期的な産物だったろう。データの送受信も自動の電話回線になった▲半世紀の間に蓄えた観測データによれば、列島で局地的な豪雨は明らかに増えたという。それが深刻化の一途ならば、天候を読む“眼力”、つまり予測の力を上向かせるしかない▲積乱雲が連なる線状降水帯の「半日前予測」がきのう初めて、県単位で発表された。これまでは「九州北部」など全国を11のエリアに分けていたが、さらに狭まる▲新しいスーパーコンピューターの“力量”らしい。予測の範囲をもっと狭める、予測が外れる「空振り」や「見逃し」を減らす…。50歳になる観測システムは今なお成長の途上にある。予測が出たらどう行動するか。人もまた、先を読む“眼力”を鍛えたい。(徹)

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