雫石・長栄館の事業譲渡が難航 入札額、金融機関設定額と差

長栄館

 盛岡地裁から破産開始決定を受けた岩手県雫石町鴬宿の老舗旅館・長栄館(資本金4千万円、照井久美子社長)の事業譲渡が難航している。複数者から事業承継の申し入れがあり、入札を実施したが、スポンサー候補がつけた譲渡価格と不動産の抵当権を持つ県内金融機関が設定する価格に開きがあり、交渉は行き詰まっている。長栄館は今後も営業を継続し、金融機関と話し合いを続ける考えだ。

 長栄館は破産管財人の管理下で営業を継続し、今月中をめどにスポンサー企業を探してきた。温泉旅館再生企業など全国から8社の申し入れがあり、そのうち2社が再生計画を提案した上で入札に参加。最高額は2億円だった。

 長栄館側は、最高額をつけた企業を有力な譲渡先としていたが、不動産の抵当権を持つ金融機関は2億円での担保解除を拒否し、最低価格を3億3千万円に設定した再入札を要求。交渉は続いているが、膠着(こうちゃく)状態となっている。

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