ロッテ・種市篤暉「圧倒的なピッチングができればチームも勢いがついてくる」前回登板のストレートは「自分史上一番指にかかっていた」

◆ ストレート

「修正できていない部分も多いんですけど、修正力に関してはだいぶ試合中に気づけるようになっているのかなと思います」。

前回登板の5月22日の西武戦で20年7月25日の西武戦以来となる完投勝利を挙げたロッテ・種市篤暉は、2020年の完投勝利から“成長”した部分に“修正力”を挙げた。

22日の西武戦では立ち上がりから150キロを超えるストレートを中心に、力でねじ伏せた。最速153キロを計測し、150キロ超えは36球。2-1の6回一死満塁で中村剛也に初球151キロのインコースストレートで空振り、2球目も152キロのインコースストレートでファウルを奪い、2ボール2ストライクから5球目のインコース153キロストレートで空振り三振を奪った場面は素晴らしかった。

種市は同日のストレートに「良かったと思います。指にもかかっていましたし、はい」と振り返る。これまで種市は“左肩の開きが早くないこと”、“横の動きの時間を長くすること”、“体を振りすぎないこと”を挙げてきたが、それらがハマりストレートの状態が良かったと見て良いのだろうかーー。

「そうですね、本当にこの1ヶ月、1ヶ月半試行錯誤した結果かなと思います」。

種市はプロ初勝利を含む8勝を挙げた19年に「ガンガンストレートで押していけるピッチャーになりたい」と話していたが、前回登板の西武戦では102球中59球がストレートだった。“ストレートで押せる”ピッチャーに近づいてきているという実感はあるのかーー。

「そうですね、(前回登板では)9回でもまっすぐでいこうと決めていけたので、ガンガンいけてたんじゃないかなと思います」。

頭で描いたことを体で体現できる確率が高くなったのか訊くと、「真っ直ぐに関しては19年、20年、もちろん去年よりも、自分史上一番指にかかっていたので、前回の試合がそれを継続してやっていくだけかなと思います、はい」と明かした。

◆ データを取り入れる

投球面では「データをみています。配球もデータを見ながら考える部分も、もちろん感覚的なところもありますけど、データに頼る部分は多くなっていると思います」と、データを取り入れていることが以前に比べて多くなった。

準備の中でデータ研究している時間が長くなるのだろうかーー。

「そんなこともないですね。自分の感覚とのすり合わせが一番かなと思います。トラックマンしかり、この変化量を出さないと、というマインドではないので、自分の感覚と変化量があってたらいいかなという感じです」。

28日に『日本生命セ・パ交流戦2024』が開幕し、パ・リーとの戦いからここからの3週間は普段対戦しないセ・リーグの球団と対戦する。「1年で日本シリーズを含めずに1回しか対戦しない相手。自分の得意なボールで勝負して行けたらいいなと思います」と意気込む。

2006年以来の交流戦優勝、その先の1974年以来となる勝率1位でのリーグ優勝を達成するために、種市には前回登板のような投球をほぼ毎試合求められる。「圧倒的なピッチングができればチームも勢いがついてくると思いますし、去年、今年の最初の方は中継ぎに迷惑をかけていたので、できるだけ長いイニングを投げて、三振をいっぱい取って頑張っていきたいと思います」。頼もしくなった背番号16は今日も、ヤクルト打線を力強いストレートで抑え込んでいく。

取材・文=岩下雄太

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