テニス中に心肺停止の男性手当て プレー仲間の4人に感謝状 連携しAEDなどで処置 兵庫・三木

倒れたキルキさん(右端)を救った(左から)溝口亜希子さん、有吉秀行さん、富阪賢一さん=緑が丘スポーツ公園

 テニスをプレー中に倒れた男性を連携した応急手当てで救ったとして、三木市消防本部は、男性と一緒にプレーしていた男女4人に感謝状を贈った。男性は一時、心肺停止に陥ったが、自動体外式除細動器(AED)などの適切な処置が功を奏し、感謝状贈呈式には元気な姿で駆け付けた。(小西隆久)

 感謝状を受け取ったのは、会社員の富阪賢一さん(44)▽同、藤田なぎささん(41)▽特別支援学校教諭の溝口亜希子さん(54)▽会社員の有吉秀行さん(56)-の4人。全員同じテニスサークルで週2回、緑が丘スポーツ公園(兵庫県三木市緑が丘町西2)で汗を流す。

 今月11日午後4時半ごろ、同じサークルの会社員キルキ・レナンさん(53)がプレー中、「タイム」といってサイドラインまで歩き、突然倒れた。ペアを組んでいた藤田さんと対戦相手の富阪さんがすぐに気付き、駆け寄った。

 藤田さんが「早く救急車を」「AED取ってきて」と声を上げ、4人全員が交代で心臓マッサージ。「学校の訓練でよく使っていた」という溝口さんがAEDの使用をリードした。

 「顔色が真っ青でとても心配だった」と富阪さん。AEDの後、耳元で何度も名前を叫んでいると、キルキさんが突然「Shut up!(うるさい)」と意識を取り戻した。有吉さんは「救急車が来るまでの10分間が長く感じられた」と振り返る。

 救急車到着時には、キルキさんは自力で歩けるまでに回復した。病院に搬送されたが「マッサージを受けた胸が一番痛かった」と笑う。「でもそれだけ一生懸命にしてくれたということ。感謝しかない」。25日の贈呈式で、約2週間ぶりに感謝の気持ちを伝えた。

 この日出席できなかった藤田さんを除く3人は「元気になってほっとした」と声をそろえる。「リハビリを頑張って早くまたみんなと一緒にテニスがしたい」とキルキさん。林一成消防長は「適切な処置で大切な命を救っていただき、市消防本部としても誇らしい」と話した。

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