福島県教委が基金創設 来年度から毎年50人程度を海外派遣方針 国際的な視点で地域課題を解決する人材育成に向け

英国に派遣される(前列左から)中村さん、辻本さん、橋本さん。後列左から柴田教諭、大沼教育長

 国際的な視点で地域課題を解決する人材育成に向け、福島県教委は今年度、高校生の海外研修を支援する基金を創設した。基金から捻出した費用で、来年度から毎年50人程度を海外に派遣する方針だ。基金の総額の目標を2億5千万円に設定し、積み立てる資金は地元企業や個人の寄付などで賄う。28日、発表した。

 地域の活性化につながる独自のテーマに沿って海外で探究学習に取り組もうという高校生を支援する。プログラムや選考方法など詳細は今後決める。高校や大学、企業などで運営する協議会をつくり、海外研修生を支援する仕組みを構築する。支援する高校生と企業が交流する場もつくる。

 寄付は一口5千円から。県教育庁高校教育課のホームページから申込書をダウンロードできる。大沼博文教育長は10年間は事業を継続したい考えで「一人でも多く高校生を派遣したい」と寄付への協力を呼びかけている。

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 県教委は7月26日から10日間、県内の高校生3人を英国に派遣する。英国ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)の大沼信一教授(福島市出身)らが中心となって始動したプログラムで、会津学鳳高3年の中村文彬さん(17)と福島高2年の橋本知歩さん(16)、安積高2年の辻本清香さん(16)。現地の学生との交流や福島県の復興の発信に取り組む。福島高の柴田香教諭が引率する。

 中村さんは「福島県の現状を伝え、風評払拭につなげる」、橋本さんは「友人をつくる」、辻本さんは「対話を通じ、視野を広げる」とそれぞれ誓った。

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