大阪・関西万博のパビリオン、丹波焼が彩り 陶製パーツ、窯元50軒で分担「アピールの場に」

クレイバーを窯出しした丹山窯の森本芳弘さん=丹波篠山市今田町上立杭

 2025年に催される「大阪・関西万博」の重要なパビリオンを彩る陶製パーツを、兵庫県丹波篠山市を拠点とする丹波焼の陶芸家たちが制作している。六古窯日本遺産活用協議会の万博協賛事業。丹波焼や備前焼、信楽焼、瀬戸焼など六古窯で計4200本の部材を焼成し提供する。関係者は「国内外の人々に、丹波焼や六古窯について知ってもらうきっかけになれば」と期待している。(堀井正純)

 部材を用いるのは、万博の目玉となるテーマ館の一つ「いのちの遊び場 クラゲ館」。「いのちを高める」が館のテーマで、ジャズピアニストで数学者、教育者の中島さち子さんがプロデューサーを務める。

 クラゲ館は鉄骨2階建て、延べ床面積1634平方メートル。クラゲをモチーフにした屋根が特徴的な建物で、漂うクラゲの神秘のような、言葉で説明しきれない魅力を表現し、いのちや創造性を象徴するという。

 五感を刺激する遊具を配置し、世界各国の民族芸能や音楽が体感できる企画を予定している。

 六古窯の各産地で作製するのは、「クレイバー」と呼ばれる茶褐色の細長い直方体(長さ20センチ、幅4.5センチ、厚さ2.6センチ)。大量に組み合わせ、クラゲ館の水辺を構成するという。

 丹波立杭陶磁器協同組合によると、丹波焼の窯元50軒で分担し、計800本を6月上旬までに納品する。釉薬(ゆうやく)をかけないれんがのような部材で、粘土を成形し、素焼き後、本焼きして仕上げる。

 焼き上げたクレイバーを窯出しした、「丹山窯」の森本芳弘さん(58)は「無釉なので、それぞれの産地で土色の違いが出るのでは。焼き方などで窯元ごとにも微妙に違うはず。万博が、丹波焼のアピールの場になれば」と話していた。

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