生理中のプール授業「旧態依然」 男性教員が休む理由追及、女子だけ補習 保護者「子どもが傷つく」

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 「生理中に水泳授業があるときの学校の対応が、私の子どもの頃と変わっていない」。中学生と高校生の娘がいる女性(51)=神戸市北区=から、疑問の声が神戸新聞社の双方向型報道「スクープラボ」に寄せられた。娘が見学する際、男性教員に理由を追及されたり、補習があったりすることで、ストレスを感じているという。どうすれば解消できるのか。今年のプール開きを前に、神戸市教育委員会に見解を聞いてみた。(名倉あかり)

 投稿した女性が疑問を抱いたのは、市立中学校に通う娘の生理が水泳授業と重なったときのこと。娘によると、保健体育の担当教員が男性で理由を伝えづらかったため、「体調不良」と申告。すると「体調不良って何や」と詰め寄られ、答えざるを得なくなった。

 見学中は、「なぜ休んでいるのかが暗黙の了解で分かる」ため、同級生の視線が気になった。放課後や夏休みに行われる補習の参加者はほとんどが女子生徒で、娘は「女の子が悪いわけではないのにペナルティーに感じる」という。

 記者(28)も中学生の頃、他の生徒がいるプールサイドで生理中であることを説明しなければ見学できなかった。周期が不安定で、短期間で2回休んだ時には先生から「ほんまか?」と疑われ、つらい思いをした。学校や先生によっては、今も同じような対応が続いているようだ。

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 こうした学校側の対応について、市教委はどう受け止めるのか。学校教育部の担当者に取材した。

 まず、女性の娘が見学理由を追及されたことに対しては「言い方は悪いが、『サボり』との線引きのため事細かく聞いていたケースがあるかもしれない」と釈明。「女子生徒が体調不良と言えば、理由は推察できるので、基本的には深く聞かなくてよい。教員には時代感覚に合わせた認識のアップデートが必要だ」との姿勢だった。

 さらに、「男性教員に言いにくければ、女性教員や養護教諭ら、自分が言いやすい先生に申し出て」とも。信頼できる教員が身近にいればよいが、授業に関係のない先生に伝言してもらうのは、むしろハードルが高いように感じる。

 プールサイドでの見学については「見学者も学習者の一人。入水しなくても授業の注意点などを聞いて学習カードに記入することで、成績評価の材料にしている」と担当者。補習についても「生理以外でもさまざまな理由で授業を受けられなかった子どもに学習機会を与えることは必要」とした。ただ、近年は補習を実施する学校は減っているという。

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 そもそも、水泳の授業を巡っては、男女混合での授業や体のラインが出る水着に抵抗感のある生徒も少なくない。投稿者の女性は「子どもが傷つかないためにも、生理に対する先生の知識や理解促進を徹底してほしい」と求めた。

 生理中の見学に関して、学校の先生と話し合ってみては-。女性に提案すると「先生はいつも忙しそうで、相談しにくい。それは子どもも同じでは」と声を落とした。学校では出欠などを連絡するアプリが導入されている。便利な半面、直接話す機会が減っているそうで、教員と保護者の距離感も気になった。

 スクープラボには、同じ神戸市内の保護者から「柔軟に対応する学校もある」との声も。女子生徒の体育は女性教員が担当するほか、教員とのやりとりは生徒手帳を使うため、「生理を伝えることに違和感はない」という。

 大人の社会でも、生理について話題にすることをタブー視する風潮はまだまだ根強い。子どもの目線に立って、周りの大人ができることを考えていきたい。

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