聖地での最後の雄姿は見られない? ナダルがウインブルドン欠場を示唆「芝からクレーへの移行というのは難しい」<SMASH>

現在開催中のテニス四大大会「全仏オープン」の男子シングルスで初の初戦敗退を喫した元世界ランク1位のラファエル・ナダル(スペイン/現275位)。試合後の記者会見では、プロテクトランキング(負傷前の順位でエントリーできる救済措置)での出場を予定している今季3つ目の四大大会「ウインブルドン」(7月1日~14日/イギリス・ロンドン/芝)を欠場する方向で検討していることを明らかにした。

大会屈指の好カードとなったアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/4位)との1回戦で3-6、6-7 (5)、3-6のストレート負けを喫したナダル。今シーズン限りでの現役引退を示唆している赤土の王者は現状、全仏オープンと同じ会場で実施されるパリ五輪(テニス競技は7月27日~8月4日)への単複での出場を目標に掲げている。

今夏のオリンピックに参加する選手には、例年にはない芝からクレーへのサーフェス移行が待ち構えているわけだが、ナダルは未だかつて経験のないイレギュラーな状況や自身のフィジカルコンディションを踏まえ、「ウインブルドンに出るのは正直なところ難しい」と発言。その上でこう続けた。
「パリ五輪が再びクレーコートで開催されるわけで、芝からクレーへの移行というのは難しいように感じる。現状どうなるかは何もわからない。チームと話し合って色んなことを分析する必要がある。ただ、(これまでに)自分の身体に起こった全てのことを考えると、これから全く違うサーフェス(芝)でプレーして、そこからまたすぐにクレーに移るのは賢明ではないと思う」

パリ五輪の男子ダブルスでは、同郷の後輩カルロス・アルカラス(世界3位/21歳)とのドリームペアを結成する意欲を示しているナダル。それゆえに無理に芝シーズンでプレーして、身体を痛めつけるわけにはいかないという考えもあるのだろう。

現時点ではまだウインブルドンの出場者リストにはナダルの名前が掲載されているが、会見でのコメントを考慮すれば近いうちに消去される可能性は高い。今後のクレーキングの動向に注目が集まる。

文●中村光佑

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