剣道の最高段位「八段」に 合格率0.8% 島原市で初めて平井さん 

 島原市剣道協会顧問の平井節朗さん(70)が剣道の最高段位「八段」に合格した。島原市教委などによると、八段合格者は市内では初めて。島原半島では、剣道の称号として最高位の「範士八段」に1997年合格した佐藤信秀さん(75)=雲仙市小浜町=以来、27年ぶり2人目という。

長崎県島原市で初めて剣道八段に合格した平井さん=島原市有明町、有明体育館

 平井さんは長崎県島原市有明町在住。8歳から地元の道場で剣道を始め、県立島原高を経て73年に大東文化大(東京)に進学。74年度に全日本学生剣道選手権大会で団体準優勝し、76年度には同大会で個人優勝を果たした。
 大学卒業後は本県の小学校教員に採用され、全国教職員剣道大会で7度個人優勝するなど活躍。南島原市立大野木場小校長を最後に2015年で定年退職し、現在は有明剣道振興会会長として小中学生の育成に励んでいる。
 全日本剣道連盟などによると、八段を受審することができるのは、七段に合格後、10年以上修業した46歳以上の人。平井さんは37歳で「教士七段」に合格。定年退職後の16年10月、本県で開かれた「ねんりんピック長崎」で団体優勝したのを機に八段を志し、今月に15回目の挑戦で合格を果たした。
 京都市であった八段審査会は、受けた計1720人のうち合格者は平井さんを含めて14人。合格率0.8%の難関だった。ほかの受審者との「立会い」では、竹刀の剣先を交える一瞬の間隙(かんげき)を縫って放つ「すり上げ面」や、相手が飛び込んできたところを慌てず打ち込む「出ばな面」など、得意の面を冷静に決めた。木刀での形も、気力を充実させ納得のいく演武ができたという。
 平井さんは24日、島原市役所を訪れ、古川隆三郎市長に八段合格を報告。「『生涯剣道』を目指し、後進の育成に努めたい」と今後の抱負を述べた。平井さんは取材に「稽古では平常心を大切にしている。白鳥が水上を軽やかに泳ぐがごとく、無駄のない美しい動きをさらに目指していきたい」と語った。
 全日本剣道連盟によると、県内で八段有資格者は12人。このうち「教士」の称号を持つのは平井さんを含め8人で、最高称号の「範士」は4人。

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