大坂なおみ、女王シフィオンテクに惜敗し涙もトップ復帰へ手応え「またそこに戻れるような気がする」[全仏オープン]

大坂なおみ、2連覇中のシフィオンテクを追い詰めるも一歩及ばず

現地5月29日、「全仏オープン」(フランス・パリ)女子シングルス2回戦で大坂なおみ(フリー/世界ランク134位)は2連覇中のイガ・シフィオンテク(ポーランド/同1位)に6-7(1)、6-1、5-7と惜敗。マッチポイントもあっただけに試合後には涙を流したとし、「これまでプレーした中で一番楽しい試合だった」と振り返った。

26歳の大坂は、苦手とクレーコート・シーズンでトップ20らを破るなどの手応えを得て今大会に突入。1回戦でルシア・ブロンゼッティ(イタリア/同67位)をフルセットで破り、現女王のシフィオンテク戦を迎えた。

新旧女王対決となった一戦は、激しいストローク戦が繰り広げられた。第1セットは、大坂はセット終盤にブレークバックに成功し、第10ゲームではセットポイントもあった。だが、チャンスを生かせずにタイブレークの末にシフィオンテクがセットを先取する。

しかし、第2セットでは大坂のパワフルなストロークが女王を困らせた。テンポ良く放たれる鋭い打球に防戦一方のシフィオンテク。大坂は計3度のブレークに成功し6-1でセットを奪い返す。その勢いは最終セットも継続し、1ブレークアップのまま5-3とサービング・フォー・ザ・マッチまで追い込んだ。だが、勝利を目の前に硬さが出たか、土壇場でシフィオンテクが追いつくと、そのまま悪い流れを断ち切ることができないまま5-7。2時間57分の激闘も実らず、女王からの金星とはならなかった。

試合後、大坂は「これまでプレーした中で一番楽しい試合だったと思う。あの雰囲気は本当にすごかったし、観客のみんなも楽しんでいたと思う。間違いなく私にとってとても思い出深い試合になった」とコメント。「コートを出る時は泣いたけど、そのあと去年の今頃は妊娠していて、この大会で優勝したイガを見ていたんだと思った。彼女と対戦するのが夢で、そう考えると私はよくやった」と自分で自分を称える。

また、「それに自分に厳しくなりすぎないようにしている。彼女の得意なサーフェスでいいプレーができた。私はハードコートが得意だから、自分のサーフェスで彼女とプレーして、どうなるか見てみたい」と再戦を願った。

敗れたとはいえ、ツアーに復帰してまだ5ヵ月。フィジカル面の改善を取り組んでいるところだとしながらも、出産を経て精神面では一回りも二回りも成長したようにも思える。「自分のプレーは誰に対しても通用すると思っている。誰かを恐れて試合に臨むことは、無意味だと思うの。今でも多くのことを成し遂げられると感じている」と強い心を持って臨んでおり、「この大会では準々決勝や準決勝に進めなかったけど、またそこに戻れるような気がしている。私にとってはそれが最大のプラス」と勝ち負け以上に得たものは大きい。

今大会後は、ウィンブルドンへ向けてグラスコートの大会に出場を予定しているものの、その先にはパリ五輪もある。「オリンピックの1回戦で彼女と対戦しないことを願うよ」と冗談交じりに語る大坂だが、「クレーコートでは多くのことを学んだ。それをオリンピックに生かせるといい」とした。

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