ナダル戦を生観戦したジョコビッチがプレーを絶賛!“最後の全仏”という見方に「そうなるようには見えない」<SMASH>

現在開催中のテニス四大大会「全仏オープン」の男子シングルスに第1シードで出場している世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が、1回戦勝利後の記者会見で同大会初の初戦敗退を喫した元世界王者のラファエル・ナダル(スペイン/現275位)に言及。ナダルが今季限りでの現役引退を示唆していることを踏まえつつ、これが最後の全仏となることに疑問を投げかけた。

ローランギャロスで最多14度の優勝を誇るナダルは、現地27日の1回戦で世界4位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)に3-6、6-7 (5)、3-6のストレートで敗戦。これによりズベレフは2009年のロビン・ソダーリング(スウェーデン/元4位)、15年と21年のジョコビッチに次ぎ、全仏でナダルに勝利した史上3人目のプレーヤーとなった。

ナダルとズベレフの大注目の一戦には多くの現役トップ選手も駆けつけ、スタンドにはカルロス・アルカラス(スペイン/男子3位)やイガ・シフィオンテク(ポーランド/女子1位)、さらにはナダルとツアーで59度(うち全仏では10度)対戦しているジョコビッチの姿も。翌28日の1回戦でピエール-ユーグ・エルベール(フランス/142位)に6-4、7-6(3)、6-4で勝利したジョコビッチは、フィジカルコンディションが厳しい中でズベレフと互角の勝負を演じたナダルへ向け、次のように賛辞を送った。

「ローマやバルセロナで見た時と比べて、彼(ナダル)は非常に良いプレーをしたと思う。本当にずっと高いレベルでプレーしていた。結果的にはストレート負けだったけど、第2、3セットは本当に接戦だった」
その上でジョコビッチは「今回はドローが少々不運だったと思う。サーシャ(ズベレフ)は今絶好調で、ローマでも優勝したし、非常に良いサービスを打っているからね」とライバルのナダルに同情。その後改めて試合の質の高さをこう称賛した。

「サーシャがボールをうまくコントロールしている時に対峙するのは大変だ。でも、見ていて素晴らしかったよ。デビスカップ(国別対抗戦)以外で、あのレベルの試合を生で1セット観戦したのはいつ以来か思い出せない」

現状ナダルは現役続行にも含みを持たせており、ズベレフ戦後の特別インタビューでも「これが最後の全仏になると100%は言い切れない」と話していた。それに触れる形でジョコビッチは自身の希望も込めてナダルが来年もローランギャロスでプレーするのではないかと予想した。

「スタンドにはイガ(シフィオンテク)もカルロス(アルカラス)もいた。おそらく選手のみんなもあの雰囲気を感じながら、彼にとって最後の全仏になるであろう特別な瞬間を見ておきたかったのだと思う。でもそうなるようには見えないね」

確かにズベレフ戦でのナダルのプレーは、まだまだやれそうだと思わせてくれるほどのクオリティだった。来年の全仏でもクレーキングのプレーが見られれば非常にうれしい限りだ。

文●中村光佑

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