松井サブレ5月「引退」 ゴジラ、メジャー、ホームラン… 名を変えながら愛され31年

ロングラン商品として親しまれた松井サブレが並ぶ売り場=能美市吉原釜屋町

  ●能美・前田製菓、機械老朽化で製造終了 100万箱以上販売

 元米大リーガー松井秀喜さん(49)=能美市出身=の関連グッズの先駆けとなった「松井サブレ」が、31日で生産を終えることになった。製造元の前田製菓(同市)が機械の老朽化を理由に継続を断念した。松井さんがプロ入りした1993(平成5)年に「ゴジラ松井サブレ」としてデビュー。31年間で計100万箱以上を売り上げた人気商品とあって、地元からは惜しむ声が上がっている。

 サブレは、前田製菓の創業者で、松井さんのファンだった前田勝弘前会長が商品化した。地元特産の「加賀丸いも」を練り込んだ生地はサクサクの食感が特長で、パッケージには松井さんのかわいらしいイラストをあしらった。

 松井さんの活躍とともに商品の知名度も上がり、JR各駅や空港、大型商業施設などで広く取り扱われた。松井さんが2度目のセ・リーグ最優秀選手(MVP)に選ばれた2000年には売り上げが1億円に達し、増産対応のため小松市内に新工場が建設された。

 サブレの人気は、商工会が手掛けたカップや茶碗など他の松井さんグッズにも波及し、地域経済に「ゴジラ特需」をもたらした。

 松井さんが米大リーグヤンキースに移籍した03年6月には「メジャー松井サブレ」に名称を変更。12年に引退してからも「ホームラン松井サブレ」として販売された。

 ただ、サブレの型や製造機械が老朽化し、更新に多額の費用がかかるとして月内での製造終了を決めた。6月以降は出荷済みの商品のみの販売となる。

  ●父昌雄さん「息子より長く現役」

 松井さんの父昌雄さん(82)は「デザイン良し、味良し、土産物としても良しの三拍子そろった商品。息子より長く現役で活躍し、多くの人に喜んでもらえたことが何よりだ」と感謝した。

 29日、能美市吉原釜屋町の「すしべん能美根上インター店」には製造終了を伝えるポップが貼られた。店の担当者は「最近も観光客がまとめ買いすることがあった。人気商品なだけに残念だ」と話した。

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