「アルテミス計画」で鳥取生まれのタイヤ活用に期待 月面探査車タイヤを試験 鳥取砂丘の実証フィールドで走行性・耐久性を確認 大手ブリヂストンが開発

フェルト状の接地面を持たない試験用タイヤ(手前)を車両後部に取り付けて走破性を試験する担当者=鳥取県鳥取市浜坂、ルナテラス

 月面と砂質が似た鳥取砂丘の実証フィールド「ルナテラス」(鳥取県鳥取市浜坂)を活用し、タイヤ大手のブリヂストン(本社・東京都中央区)が開発している第2世代月面探査車用タイヤの走行試験が30日、報道関係者に公開された。国際月探査「アルテミス計画」での鳥取生まれのタイヤの走行が期待される。

 ブリヂストンは2019年から月面探査車用のタイヤ開発を進めている。

 月の地表温度は120度~マイナス170度で、大気がなく宇宙放射線が大量に降り注ぐ月面では、空気入りゴム製タイヤの使用は耐久性などの観点から困難で、金属製となっている。

 第2世代は、接地面が複数のパーツに分かれた走行用ベルトのような構造。スポークに弾力性を持たせることで、柔軟に接地面を広げることができ、細かな砂に覆われた月面でも沈まず走れるという。さらに接地面はざらざらしたフェルト状に加工して、グリップ力を高めてある。

 この日は、接地面をフェルト状にしていない試験用のタイヤを使い、走行性や耐久性の試験を公開。同社タイヤ研究第1部の弓井慶太部長は「ルナテラスでの走行試験は開発に不可欠。より進化させるために活用したい」と話した。

 アルテミス計画では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが探査車の開発を進めており、早ければ31年にも打ち上げられる。

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