【安田記念/追い切り診断】実力上位の人気一角に「B」の辛口評価 躍動感、見栄え物足りず「負荷を回避せざるを得ない状態か……」

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第74回安田記念(2日/GI、東京芝1600m)には、GI7勝の香港馬ロマンチックウォリアー、昨年のマイルCS勝ち馬ナミュール、2022年のマイルCS勝ち馬で昨年2着セリフォス、マイラーズCの勝ち馬で昨年マイルCS2着ソウルラッシュ、ダービー卿CT勝ち馬パラレルヴィジョン、ヴィクトリアマイル2着フィアスプライドらが出走予定。

本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「セリフォス」を取り上げる。

◆【安田記念2024予想/追い切り診断】最高評価「S」はセリフォスかソウルラッシュか 競走馬として数段レベルアップ「迫力満点」

■セリフォス

【中間調整】2022年マイルCS勝ち、昨年の安田記念で2着など日本馬陣営のなかでは実績最上位と言える存在。昨年はドバイターフから安田記念に臨んでいたが、今年は海外遠征は行わず、マイラーズCをステップに昨年2着のリベンジへ挑むことに。そのマイラーズCはやや太め残りながら、中団からジワッと伸び2着を確保。陣営サイドから“状態がそこまでではなかった”とのコメントもあり、底力の高さをアピールした一戦だったと言える。

中5週となるこの中間は在厩で調整。5月3日に初時計として坂路15-15をマークした。1週前には川田騎手が跨ってCW併せ馬。稽古駆けする良血オープン馬エスコーラを大きく追走する意欲的な内容で、馬なりのまま追いつき併入とした。時計は自己ベストを更新する5F64秒6。

【最終追い切り】レース当週は指揮官・中内田師が騎乗し坂路で単走。負荷は1週前で十分掛かっており、今回は息遣いを確認する程度の内容に留まっている。ややフットワークを小さく見せるものの、力みはなく自然体の走りでラストはジワッと加速することができていた。

【見解】1週前はさすがの迫力。稽古駆けする相手に速い時計を出し、この負荷で太かった体もしっかり絞れてくるはずだ。ゆえに直前の攻めは軽めで問題はないが、さすがに坂路4F56秒9、2Fラップ13秒5-12秒7は緩過ぎる嫌いが。さすがに躍動感もそこまでの見栄えはしなかった。そもそも2歳時の朝日杯FSから昨年秋のマイルCSまで国内のGIへ参戦する場合、直前の攻めはすべてCWで追ってきた馬。今回は初のケースとなる坂路最終追いで、単純に気になる点ではある。疲労や脚元の面で、CWでの負荷を回避せざるを得ない状態なのかもしれない。ソウルラッシュ、ロマンチックウォリアーと上位人気を争いそうだが、人気ほどの信頼はどうか。

総合評価「B」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)
【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

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