大田原高山岳部「ぶれずに安全対策」 8人死亡雪崩事故から7年 1日に三本槍岳へ、ジオラマや下見で準備

翌日の登山に向けて手作りのジオラマで危険箇所を確認する大田原高山岳部の高梨教諭(中央)と生徒たち=31日午後、大田原市紫塚3丁目

 那須雪崩事故で生徒7人と教諭1人を亡くした大田原高山岳部は現在、「安全登山の遂行と普及」などを部の方針に掲げ、日々の活動に取り組んでいる。事故から7年2カ月。顧問の高梨和幸(たかなしかずゆき)教諭(51)は「安全対策と生徒の育成をぶれずにやっていく」と強調した。部員たちは1日、那須町の三本槍岳に登る予定だ。

 手作りのジオラマを生徒たちが囲む。中央で高梨教諭が登山ルートや危険箇所などの注意事項を説明した。30日に行った現地の下見を基に「特に(道が)分断されているところはないが、天候の急変もある。なめてかかってはいけない」と気を引き締めた。

 部長の3年久颯天(ひさはやて)さん(17)は「第一に安全登山が目標。自分たちの活動を周りにも広めたい」と話す。

 事故後に赴任した高梨教諭は、同部顧問となり6年目。山小屋に荷物を運ぶ地域貢献活動や交流サイト(SNS)を活用した保護者・OBとの情報共有、部誌作りなどを行っている。遺族との交流を続けており、1日の登山にも同行する予定。事故後に県が策定したガイドラインを順守し、登山アドバイザーも加わる。

 高梨教諭は「預かった生徒を安全に帰すことと人として成長させること。裁判でどんな判決が出ても、その方針や気持ちは変わらない」と語った。

登山に向けて地形図を確認する大田原高山岳部の高梨教諭と生徒たち=31日午後、大田原市紫塚3丁目

© 株式会社下野新聞社