安中梅林で梅ちぎり 噴火災害で壊滅的被害 島原・第五小児童が防災学習で 長崎 

梅の実をちぎる島原市立第五小3年の下田櫂聖さん(右)と、父の将二郎さん。奥は平成新山=島原市大下町

 1991年6月の雲仙・普賢岳大火砕流や土石流で壊滅的な被害を受け、植樹により再生された長崎県島原市安中地区の安中梅林で5月29日、地元の市立第五小の児童らが梅の実を収穫した。
 梅林はかつて水無川左岸の堤防沿いに群生。維持・管理をしている「安中まちづくり協議会」(阿南達也会長)などによると、噴火災害終息後の2000年から、ふるさとへの愛着を持ってもらおうと、同校6年生と地元住民が10年間にわたって毎年約100本ずつ植樹。現在600本ほどが残っているという。
 収穫は防災学習の一環。3年生60人と地元住民が平成新山を望む梅林で、背伸びしながら丸々とした実を手に取り、1時間ほどで計約300キロを収穫した。
 会社員の下田将二郎さん(44)は3年生の長男櫂聖(かいせい)さん(9)と参加。大火砕流当時は第五小の6年生で近隣の第三小に設けられた仮設校舎で学んだという。「こうした機会に、(当時)夏休みが前倒しされ、8月に入って授業が再開したことなどを伝えていきたい」。櫂聖さんは「梅ちぎりは楽しかった。話を聞いて、二度と災害が起きないように願った」と話した。
 梅の一部は地元の女性らでつくる「おもてなし会」(川本まなみ会長)が梅干しに加工し、9月の給食で提供するという。

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