中国の伝統芸能「変面」 貴重な木偶人形が「お嫁入り」 長崎の芸能団体が新しいショー披露

長崎にやって来た変面木偶人形のリンちゃんと小林代表=長崎市

 面が次々に変わる中国の伝統芸能「変面」の貴重な木偶(でく)人形が、長崎市の芸能団体「日中川劇(せんげき)変面協会九闌(くらん)」(小林奈々代表)に“お嫁入り”した。本場の四川省成都市の優れた人形師が制作した。新しい趣向のショーを楽しんでもらおうと、小林さんは練習に励んでいる。
 変面は中国の伝統芸能「川劇」の一部。「九闌」は芸能発展のため変面師の育成などに取り組んでいる。
 小林さんは昨年8月、成都で開かれた友好都市音楽祭に出演し、木偶人形と初めて共演。人形の華やかさに感銘を受けた。今年5月に人形を購入。現地で棒の持ち方から教わり、扱い方や足の運びを習得した。
 「魂を宿せるかどうかは操者の腕次第。まだ理想の2割ほど」と練習に余念がない。
 購入した人形は全長140センチほどの大型で、名前は「リンちゃん」。操者が左右の棒で手を動かし、秘密の仕掛けで面が変わる。
 制作者は成都市の人形師で、一子相伝の5代目となる曽繁金(ソハンキン)さん(84)。日本の人間国宝のような存在で、跡継ぎがいないため曽さん限りで技術の継承が途絶えてしまうという。
 人形は100年以上も使えるとされ、右手に触れると幸せになる言い伝えも。曽さんからは「日本で素晴らしい人形文化を正しい形で広めてほしい」と願いを託された。小林さんは「お嫁さんにもらったつもりで大切にして、操法などを次代に伝えられたら」と話す。
 新しいショーは、2日午前11時=あじさい祭り(長崎市神ノ島町3丁目の神ノ島公園)▽9日午後4時=ながさき食の遊宴地(同市元船町の「おくんち広場」)で見られる。

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