夫の夢、農家民宿「古今呂(こころ)の宿 福とみ」11日オープン 福島県飯舘村

プレオープンで郷土料理を振る舞う、とみ子さん(右)

 福島県飯舘村の農業渡辺とみ子さん(70)が自宅を改修して整備した農家民宿「古今呂(こころ)の宿 福とみ」は11日、オープンする。二人三脚で歩んできた亡き夫・福男さんとの夢が、また一つ実現した。とみ子さんは「自慢の郷土料理で、飯舘の魅力を発信したい」と前を見据えている。

 木のぬくもりあふれる築約60年の宿で、1日1組(最大7人)を受け入れる。季節によっては村オリジナル品種の雪っ娘カボチャの収穫や、隣接する食品加工場「までい工房 美彩恋人(びさいれんと)」での凍(し)み餅づくりが体験できる。料金は一泊2食付きで1人当たり7700円から。問い合わせや予約などは専用のホームページで受け付けている。

 渡辺さん夫婦は東京電力福島第1原発事故発生後、福島市に避難した。村内での加工場再開と民宿開業が2人の夢となっていた。しかし、福男さんは、2018(平成30)年12月に67歳で亡くなった。とみ子さんは夫の思いを胸に昨年6月に加工場を再スタートさせ、民宿のオープンにこぎつけた。

 先月30日には関係者を招いたプレオープンイベントを催した。とみ子さん手作りの凍み大根、いかにんじんなど、宿泊者に振る舞う約20種類の料理がテーブルいっぱいに並んだ。

 とみ子さんと親交のある地元の畜産業小林美恵子さん(68)は「田舎料理を求め多くの人が泊まってくれれば、にぎわいにつながる」と笑顔を見せた。

6月11日にオープンする「古今呂の宿 福とみ」
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