「そう思われるのが一番嫌だった」ニックスのブランソンが明かす、他者から指摘された“気に入らない敗戦の理由”とは<DUNKSHOOT>

現地時間5月31日(日本時間6月1日、日付は以下同)、米メディア『The Strickland』にポッドキャスト番組『Roommates Show』の最新エピソードが公開された。これは元ビラノバ大のチームメイトで、現在ニューヨーク・ニックスでともにプレーするジェイレン・ブランソン、ジョシュ・ハートらがホスト役を務める番組となっている。

今季のニックスは、イースタン・カンファレンス2位の50勝32敗(勝率61.0%)を残し、2012-13シーズン(54勝28敗/勝率65.9%)以来初の50勝超えを達成。プレーオフではフィラデルフィア・セブンティシクサーズを4勝2敗で下し、昨年に続いて2年連続のファーストラウンド突破を果たした。

そうして迎えたインディアナ・ペイサーズとのカンファレンス・セミファイナル。ニックスはホームのマディソン・スクエア・ガーデンで2連勝スタートを切るも、ホームに戻ったペイサーズが連勝してイーブンに戻す。すると両チームはホームで互いに勝利して3勝3敗で並び、運命の第7戦を迎えた。
しかし、それまで内弁慶となっていた両チームのシリーズは、5月19日の最終戦でアウェーのペイサーズが130-109でニックスを撃破し、カンファレンス・ファイナルへ進出。ニックスは2000年以来初のイースト決勝をあと1勝で逃し、2023-24シーズンを終えた。

思えば今季のニックスはケガに苦しめられた。オールスターフォワードのジュリアス・ランドルは、右肩のケガでシーズン終盤に離脱。プレーオフに入ってからも途中加入して攻守両面で活躍したOG・アヌノビー、ベンチスコアラーのボーヤン・ボグダノビッチ、控えセンターのミッチェル・ロビンソンが次々と戦列を離れた。

ペイサーズとのシリーズ第2戦でハムストリングを負傷し、第3戦から4戦連続で欠場いていたアヌノビーは、第7戦で執念の復帰を飾るも本調子には程遠かった。その試合では腹部を痛めていたハートも強行出場したが思うように活躍できず、ブランソンは第3クォーター途中に左手を骨折してしまい、無念の途中退場となった。

それでも、ブランソンは番組内で“ケガが負けた理由じゃない”と話していた。

「僕らはすごくいいプレーをしていたのに、こう思われるのが一番嫌だった……。僕らが負けるといつも、誰もが『あのチームは疲れ切っていた』、『彼らはケガをしていたじゃないか』と言ってくる。それが気に入らなかった。
僕らはあのシリーズで勝つチャンスがあった。けどそれができなかったんだ。3勝0敗にできるチャンスだってあったのにできなかった。だから自分たちが負けた要因についてそう言われるのが嫌なんだ」

敵地ゲインブリッジ・フィールドハウスで行なわれた先月10日のシリーズ第3戦。ニックスは試合時間残り42秒にブランソンの3ポイントで同点に追いついたものの、ペイサーズはタイリース・ハリバートンが3ポイントを落とした後、アーロン・ネスミスがオフェンシブ・リバウンドをもぎ取り、アンドリュー・ネムハードが値千金の長距離砲を沈めて逆転。その後ニックスはブランソン、ドンテ・ディヴィンチェンゾのスリーが決まらず、106-111で勝ち切れなかった。

今年のプレーオフで平均32.4点、3.3リバウンド、7.5アシストと猛威を振るったブランソンにとっては、勝利できるチャンスをモノにできなかったことが心底悔しかったのだろう。
トム・シボドーHC(ヘッドコーチ)の下、ニックスが来季もシーズンを通して“完全体”でプレーできる保証はどこにもない。それでも、このチームはブランソン、ランドル、ハート、ディヴィンチェンゾ、ロビンソン、マイルズ・マクブライドが来季も契約下にいる。

完全FA(フリーエージェント)になる先発センターのアイザイア・ハーテンスタイン、来季契約がプレーヤーオプションのアヌノビーが、今夏オプション行使あるいは再契約を結んでニックスの一員としてトレーニングキャンプから合流できるのであれば、今季よりもさらに上を目指せるロスターと言えるだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

© 日本スポーツ企画出版社