<空き家>と<住まいが必要な人>をマッチング? 北九州未来づくりラボ理事長・宮地弘行さん

西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。今回のゲストは、一般社団法人北九州未来づくりラボ理事長の宮地弘行さんです。

十数年後には3軒に1軒が空き家に 再生し必要な人へ

甲木:おはようございます。西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。

横山:同じく、西日本新聞社 横山智徳です。

甲木:横山さん、よく“実家じまい”という言葉を聞きますけど、横山さんの家はどうなっていますか?

横山:横山家は結構切実ですね。亡くなった祖父母の家が大分にあります。かれこれ5年以上は誰も住んでなく、福岡市に住んでいる両親が、時々風を通しに帰ってます。まだ今は元気だからいいけど…

甲木:なるほど。ご両親はまだ売ろうという行動には出てないのでしょうか?

横山:はい。何とかしないといけないとずっと話しています。時々瓦が壊れたり、雨戸井が壊れたりして、誰も住んでないのに修理しています。

甲木:そうなんですね。でも修理しないと、ご近所に迷惑かけるわけですからね。そういうことで、今日のゲストはまさに今の横山さんのお悩みに関係あるような不動産関係のゲストをお招きしています。と言っても不動産会社の社員さんではありません。一般社団法人北九州未来づくりラボ理事長の宮地弘行さんです。宮地さんよろしくお願いします。

横山:よろしくお願いします。

宮地:よろしくお願いします。

甲木:今、私は一般社団法人北九州未来づくりラボと申し上げましたけれども、こちらはどんなことをする団体なんでしょうか?

宮地:今まさにお話に出ていましたが、昨今、空き家がどんどん増えています。本当に社会問題になっているということで、数で言いますと7軒に1軒ぐらいが空き家ということです。

甲木:そんなに多いんですね。

宮地:全国で850万戸ということなんですが、これも古いデータですからもっと増えていると思います。衝撃なのはこれから人口減少や、しかも去年ぐらいから世帯数も減り出したので、空き家は加速度的に増えていっています。あるシンクタンクの調査では、十数年後には3軒に1軒が空き家になるという結果が出ています。

甲木:えー!そうなんですか。

宮地:3軒に1軒ですと、住んでいる隣のどちらかが空き家ということですからね。この社会問題になっている空き家がどんどん増えつつあり、方や住まいにお困りの人がおられると言うことで、私はこういう空き家(古い家)を再生して、住まいや居場所に困っている人に提供するネットワークを作る取り組みをやっています。

甲木:なるほど。再生して困っている人に提供もしくは居場所を作るということが、北九州未来づくりラボの活動なんですね。

宮地:はい、そうです。

普通の不動産業者は扱わない物件を困っている人に

甲木:さっきの横山さんの話じゃないですけど、誰も住んでなくて、瓦が飛んだりするようなお家を再生して、誰かに貸すっていっても、資金はどうするの?とか、そもそもそれが知らない人から買い取るものなんでしょうか?

宮地:そうですね。二つありまして、一つは買い取る、もう一つは大家さんがそのまま持っていただいて、大家さんに安い家賃ですけれども、支払いをして居場所に困っている人に家賃を安く提供するということです。基本的には「借りる」ということでお願いしたいと思っています。しかし空き家をお持ちの方とずっと話していますと、「もう手放したいんだ」という話が結構多いんです。それで一応、うちの方で買い取るという感じですが、買い取るというとちょっと語弊があるんですけども。

甲木:今の話で言うと、大家さんもあまり大きな欲を出さずにある程度納得ずくの上、困ってらっしゃる方が安いお家賃で借りれるならいいかなということで入居して頂き、その利ざやで補修とか、見守りなどをしていくということですね。

宮地:そうですね。不動産も商業ベースに乗る不動産と乗らない不動産があります。私も前職の会社でやってましたけど乗る不動産は良いのですが、仲介業者の方が買い取ってリフォームして再販するなど売れる商品は市場で流通しますけれども、出ない物件というのが結構世の中多いんです。売ろうと思っても売れないような、値段が付かない物件があります。

例えば30万とか50万ぐらいの物件です。この査定が付いたとしても、赤字になるので不動産業者さんは扱うのが本当は嫌なんです。今は少し法律が変わりましたが、仲介手数料が「3%+6万」ということで決められますので、大体18万ぐらいなんです。そういう家は放置されているのでややこしいということがあり、普通の不動産業者さんは扱ってくれないんです。これも空き家問題の一つの要因だと思います。

団地でマーケットを開催 家でも職場でもない「第3の場所」を

甲木:もう一つの未来づくりラボの活動として、「八幡西区の小嶺団地で小嶺マーケットというのをやった」という新聞記事が載ってましたよね。あれはどういう活動でしょうか?

宮地:はい。居場所を作りたいというのもあったので、居場所って何かというと、今、サードプレイスというのもがありますが、家でも職場でもない「第3の場所」ということです。それが高齢者になると無くなるということもありますので、例えばご年配の方や毎日の仕事生活で大変な方などが、どこかで話し合えるような場所や、ホッとできるような場所があればいいなと。住まいに困ってないけどもいる場所がない、そういう人が結構多いと思いまして、小嶺マーケットを開催しました。

住まいだけではなく、住まいと居場所づくりということをまずやりたいと決めました。その頃から僕らのスキル・経験、不動産の知識、こういうことも含めて、世の中の役に立つということをやらないといけないと思い、2〜3年前から月に1回、同じ商売の方やメーカーさん、不動産業者の方と続けてきました。今は月1回ですが、これから回数を増やして行きたいと思っています。

甲木:もっとお話を聞きたいことがあるんですけど、本日はお時間となってしまいました。来週は前職の時のお話なども、聞いてみたいと思っております。今週は空き家を活用したり、開発して年月がたった住宅地でイベントを開催するなどの活動をされている、一般社団法人北九州未来づくりラボ理事長の宮地弘行さんにお話を伺いました。宮地さんありがとうございました。

横山:ありがとうございました。

宮地:ありがとうございました。

〇ゲスト:宮地弘行さん (一般社団法人北九州未来づくりラボ理事長)
〇出演:甲木正子、横山智徳(西日本新聞社北九州本社)

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