高校教員の8割超が校内に探究学習のための統括組織があると回答するも、外部人材の有無で教員の課題感に差【カタリバ調査】

カタリバは、同法人が日本全国の教育支援団体や学校と連携して推進に取り組んでいる実践型探究学習「全国高校マイプロジェクト」について、自校で推進した全国の教員を対象に実施した、探究学習の推進における課題に関するアンケート調査の結果を、5月31日に発表した。同調査は、2023年12月13日~2024年1月31日の期間に行われ、340名から回答を得ている。

調査対象者に、探究学習カリキュラムの企画や開発、推進を統括する組織が校内にあるかを尋ねたところ、「ある」とする回答が82%を占めた。

探究学習の推進に、どの程度課題を感じているかを尋ねた質問では、「とても感じている」と「まあ感じている」を合わせた割合が、約92%に達している。

探究学習の推進において、とりわけ課題だと感じていることとしては(複数回答)、「授業案やカリキュラムの設計」「調べ学習で終わってしまう」「校内で探究学習への理解が広がらない」が上位を占めた。自由回答では、「教職員間における探究学習に対する指導の考え方が異なったり、熱量に差があったりする」「探究活動について他の校務分掌と揉めることがある」「少数の意識の高い教員がやっているだけの状態」といった意見が寄せられている。

探究学習の推進にあたっての課題感を、探究学習カリキュラムの企画・開発・推進を支援したり、地域連携を促進したりするための外部人材(コーディネーター)の有無で比較すると、コーディネーターを配置している学校ほど、教員の課題感がやや低い傾向にあった。とりわけ、コーディネーターが配置されていない学校と比較して、強い課題感を感じている教員の割合は約17%少ない。一方、コーディネーターが配置されていない学校の教員では、「とても感じている」が50.7%、「まあ感じている」が43.0%と、より多くの教員が探究学習における課題を感じている可能性がある。そのほか、探究学習の表彰や活動の掲示といった、活動の浸透や文化づくりを目指した「校内風土の醸成」に取り組んでいる学校ほど、教員の課題感が低く探究学習を進めやすい傾向にあるといえる。

同法人は、このような課題を解決すべく、全国の高等学校を対象に「総合的な探究の時間」のカリキュラム開発研修「探究スタートアップラボ」の参加校を募集している。年3回の対面研修を中心とした年間を通じた伴走プログラムで、大きな特徴は以下の通り。

  • 各校3名程度のチームで参加し、自走できる組織的な推進を目指す
  • 先進校フィールドワークを通じて、知見やノウハウを効率的に学ぶ
  • アクションプランを自校に持ち帰り、実際に改善実践に取り組む

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