中国でRTDコーヒー市場拡大、各企業も取り組み加速

中国でRTDコーヒー市場拡大、各企業も取り組み加速

中国義烏輸入商品博覧会の会場でコーヒー飲料を買い付けるバイヤー。(資料写真、義烏=新華社配信/龔献明)

 【新華社北京6月3日】中国ではコーヒー習慣の形成が進むにつれ、コーヒー市場の規模が急速に拡大している。細分化された各市場の中で発展のスピードが最も速い市場の一つ、RTD(レディ・ツー・ドリンク、ふたを開けてすぐにそのまま飲める)コーヒー飲料市場は先行きが明るく、国内外の企業が取り組みを急いでいる。

 中国本土の機能性コーヒーブランド「奢啡(CEPHEI)」は5月28日、食品大手の味全グループと全面的戦略協力関係を確立し、連携してコーヒー市場開拓を進めるとともに、RTDコーヒー飲料市場に進出すると発表した。

中国でRTDコーヒー市場拡大、各企業も取り組み加速

中国本土の機能性コーヒーブランド「奢啡(CEPHEI)」の公式ホームページ。(スクリーンショット、北京=新華社配信)

 両社は資本や製品、販売経路など各方面での協力を推進する。研究開発や原材料、グローバルサプライチェーンにおける各自の強みを発揮し、より多くの革新的なコーヒー製品の開発を促し、味全の販売経路と実力を生かして実店舗の販売ネットワークを共同で開拓する。

 両社の協力は中国コーヒー市場、特にRTDコーヒー飲料市場の魅力を映し出した。

 中国ではここ数年、コーヒー習慣の形成が業界の持続的な急成長を促している。コンサルティング会社の中商産業研究院が発表した「2024~29年中国コーヒー業界市場発展の現状と潜在力分析研究リポート」によると、23年の中国の1人当たり年間コーヒー飲用杯数は16.74杯、全国のコーヒー産業規模は2654億元(1元=約22円)だった。24年には3133億元にまで増え、直近3年の年平均成長率は17.1%となる見通し。

 便利さと飲料の性質を兼ね備えるRTDコーヒー飲料はコーヒー市場の中で成長のスピードが最も速い分野の一つとなっている。業界・企業研究を行う頭豹研究院は「2022年中国RTDコーヒー飲料業界概況」の中で、中国のRTDコーヒー飲料市場の規模が21年に96億4千万元だったのに対し、26年には204億1千万元に膨らみ、年平均成長率が15.7%になるとの見通しを示した。

中国でRTDコーヒー市場拡大、各企業も取り組み加速

内モンゴル自治区フフホト市蒙牛聖牧高科乳品の工場で、包装した製品を運ぶ作業員。(資料写真、フフホト=新華社記者/彭源)

 RTDコーヒー飲料市場は見通しが良好なことから、コーヒーおよび関連分野の企業が相次ぎ布石を打っている。市場にはスターバックスやネスレ、コカ・コーラなど世界大手だけでなく、中国本土企業の影も見える。飲料水大手の農夫山泉は19年に炭酸コーヒー「炭仌」を発売した。飲料メーカーの元気森林(北京)食品科技集団は21年、コーヒーブランド「NEVER COFFEE」の買収を通じてRTDコーヒー飲料市場に進出した。乳製品大手の内蒙古伊利実業集団と蒙牛乳業もそれぞれのRTDコーヒー飲料を送り出している。

 「奢啡」の楊志偉(よう・しい)創業者兼最高経営責任者(CEO)は中国の1人当たりコーヒー消費量は世界平均水準をはるかに下回り、成長の余地は大きいと指摘した。若者層の消費の特徴とニーズに合うRTDコーヒー飲料は将来性があり、今後は市場シェアの上昇が続く可能性があるとし、コーヒー消費の健康意識の向上やハイエンド化がけん引役となる中、新たなブランドやコンセプトが絶えず誕生し、RTDコーヒー飲料市場に大きな成長をもたらすとの見通しを示した。

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