ジョコビッチの深夜3時まで及ぶ激闘…選手らから反発「試合終了とともに仕事が終わるわけではない」

女王シフィオンテク「試合終了とともに仕事が終わるわけではない」

今年2つ目となるグランドスラム「全仏オープン」(フランス・パリ)で史上最多25度目のグランドスラム優勝を狙うノバク・ジョコビッチ(セルビア/同1位)は、シングルス3回戦でロレンツォ・ムゼッティ(イタリア/同30位)を4時間29分の激闘の末に7-5、6-7(6)、2-6、6-3、6-0で下して16強入り。現地6月1日の午後10時37分に始まった試合は、日付が変わった翌2日の深夜3時6分と同大会史上最も遅い時間に終わった。

試合後にジョコビッチは、「午前3時過ぎに試合に勝つというのも美学だと思うよ、それが大会の最後の試合ならね。でもそうではない。一刻も早く回復できるように頑張るしかない」と不満を露わにした。

深夜にも及ぶテニスの試合に、トップ選手も苦言を呈しており、女子世界ランク1位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)は、「試合後1時間で眠りにつくわけではない。ふつうは落ち着くまで4時間はかかるし、リカバリーやメディア対応もする。試合終了とともに仕事が終わるわけではない。私はいつももっと試合を早く始めるべきだと言う選手の一人」とコメント。選手は試合でプレーするだけが仕事ではないとする。

加えて、「夜中2、3時に試合が終わる状況で翌日仕事に行かなければならないファンがこのような試合を見ているだろうか」と試合を楽しみにしているファンのためにもならないとした。

男子世界ランク3位のカルロス・アルカラス(スペイン)もシフィオンテク同様に試合以外の会見や体のケアに時間を必要とするとして、「次の試合に向けて回復するために、本当に重要なことをたくさんやらなければならない。(試合終了時刻が)こんなに遅いと回復するのが本当に難しい」と、その後の怪我にもつながりかねない懸念を示している。

ココ・ガウフ(アメリカ/女子同3位)は、「我々は基本的に彼ら(大会)の商品だと思うし、大会の理解も深まってきている。けれど、もっと選手の意見に耳を傾けるべきだとも思う。もちろん私たちは恵まれていて、大金をもらってプレーできる特権を与えられているから、あまり文句は言いたくない。要はそのバランスなんだと思う」と持論を展開した。

深夜まで及ぶテニスの試合は、これまでも悩みの種だった。全豪オープンでは深夜4時まで及んだこともある。そのため、全仏オープンも今年から従来の14日間開催から1日増やして、日曜日に大会がスタート。だが、今年は連日の雨で屋根がついていないコートの進行は遅れており、これには大会側も苦慮してることだろう。

ガウフも「もし私が大会で働いている人間だったら選手の愚痴を聞いて憤慨するでしょうね。公の場で言っていいこととそうでないことがある」とし、「大会側はベストを尽くしているし、選手もベストを尽くしている」と試合のスケジューリングについては今後さらなる議論の余地があるとした。

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