福島県、震災語り部を海外初派遣 9月にフランスへ 記憶や教訓を発信

 福島県は9月、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の語り部をフランスに派遣する。語り部の海外派遣は初めて。被災地へのインバウンド(訪日客)が増加傾向にある中、複合災害の記憶や教訓を世界に発信する。3日、双葉町産業交流センターで開かれた語り部団体連携組織「東日本大震災・原子力災害ふくしま語り部ネットワーク会議」の会合で県が示した。

 東日本大震災・原子力災害伝承館(双葉町)がフランスのモンベリアル市で催す出張展示に合わせて派遣する。原発震災を語り継ぐ会の高村美春さんと、NPO法人富岡町3.11を語る会の宗像涼さんが渡仏する。派遣期間は9月15日から同20日までで、このうち2~3日間、現地で通訳を交えて講演する予定だ。被災経験や復興の歩み、被災地の現状などを話し、福島県の正確な情報を広く伝える。

 フランスは原子力発電の割合がエネルギー全体の7割近くを占め、原子力災害への関心が高いという。高村さんは「福島の今をしっかりと伝え、原子力との向き合い方も現地で学んでいきたい」と決意した。

 会合ではこの他、ネットワーク会議が岩手、宮城両県の震災語り部と交流する研修会を10月10、11の両日に初開催すると報告した。県外の語り部から震災伝承に関する取り組みを学び、それぞれの活動に生かす。

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