9歳の女の子が亡くなった痛ましい事故 一般道を時速120キロで走らせた医師の男に禁固3年・執行猶予5年の判決 広島地裁福山支部

2022年、広島県福山市で軽乗用車にスポーツカーを衝突させ、当時、小学4年の女の子を死亡させるなどしたとして過失運転致死傷の罪に問われている医師の男(37)の裁判で、広島地裁福山支部は、男に禁錮3年・執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。

判決によりますと、男は2022年6月、福山市霞町1丁目の最高速度50キロの道路を、スポーツカーで時速およそ120キロで走行し、交差点で対向車線から右折していた軽乗用車と衝突。軽乗用車に乗っていた女の子(9)を事故の衝撃で車の外に投げ出させて死亡させたほか、軽乗用車を運転していた女の子の祖父と、歩道上にいた男性にもけがをさせました。

この裁判で検察側は、大幅な速度超過による「男の過失の度は大きい」と指摘。「女の子は、事故の当時も楽しみにしていたお祭りに行くため、祖父の運転する軽乗用車に同乗していた。突然、命を奪われ、その苦痛や無念さは察するに余りある」などとし、禁錮3年を求刑していました。

一方、弁護側は「双方とも青信号で、右折車両は直進車両を待たなければならないのだから、被害者側にも過失が少なからずあり、亡くなった女の子は後部座席でシートベルトはしていなかった」と指摘。加えて、運転免許は取り消し処分になり、再犯の可能性もないなどとして、執行猶予付きの判決を求めていました。

広島地裁福山支部の 松本英男 裁判官は判決で、「指定最高速度の2倍以上の速度で走行させ、過失の程度は大きい。1人を死亡させ、2人に重傷を負わせた結果は誠に重大」としました。

「実刑の選択も視野に入る事案であるといえなくもない」とする一方で、「交差点を右折するにあたり、直進してくる車を十分に確認しなかったことなど対向車側の事情も結果に影響を及ぼしているとみることができる」と指摘。「被告人の過失に対しては厳しい非難は免れないとしても、直ちに実刑に処することは躊躇される」などとし、禁固3年、執行猶予5年の判決を言い渡しました。

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