経理担当者は「もう大変!」1人4万円の定額減税、企業は対応に追われ…世論調査「評価しない」は約6割

政府は、6月から物価高対策として一人当たり4万円の定額減税を行います。しかし、給与明細に減税額を示すことが義務付けられたため、企業では負担が大きいと戸惑いが広がっています。

政府肝入りの物価高対策として行われる定額減税。年収2000万円の上限で、ひとりあたり所得税3万円、住民税1万円のあわせて4万円が減税されます。

しかし、政府は減税を実感してもらうためにと給与明細の明記を義務付けたため、企業では対応に追われています。

3日、福島県郡山市で開かれた郡山法人会の総会で、企業の経営者に聞いてみると…。

ミツワ・佐藤茂代表取締役「非常に困難だし、何から始めようかと思って、さっきもソフトを見ながら、午前中に説明を見たばかり」

東北総合保険サービス・三瓶浩一代表取締役「もっと分かりやすく、なおかつ減税によって働いている者も、実質収入が増えたことが身をもってわかる案内が幅広くされればありがたい」

多く聞かれたのは、「面倒」や「分かりにくい」という声でした。

経理担当「もう大変!」業務が1~2日増

こちらは福島市の企業、野田鉄工。鉄工所とともに、ジェラートの販売にも力を入れていて、6月からは抹茶、7月からはいちごソルベの発売も決まっています。鉄工所とジェラート販売で忙しい中、定額減税の対応にも追われています。

野田鉄工 経理担当・阿部惠美子さん「家族がいる人は家族の分もなので、それぞれ一人ひとり減額税が違う。なのでやってみないとわからないなと思って」

ひとりで社員28人分の給料を管理する阿部さんは、給料計算ソフトのガイドブックが頼りです。

経理担当・阿部惠美子さん「どのくらい減税になったのか、みなさんにわかるようにということで、大きくいくら減税になりましたよと印字されないといけない」

さらに、定額減税の仕組みを周知させるため、事前に社員全員にチラシで知らせました。

Q.一年のためにこのシステムを入れるのは経理担当としてはいかがですか? 阿部惠美子さん「もう大変です。一度(計算ソフトの)CDが届いてもう読み込んではあるんですけど、その後どうなっていくのか全然わからないので、ちょっと不安ですね」

給与に関する業務も、1日から2日増えるといいます。

定額減税「評価する」は3割弱

JNNが、6月1日と2日に全国で行った世論調査によりますと、定額減税について「評価する」と答えた人は「大いに評価する」と「ある程度評価する」あわせて37%でした。

一方「評価しない」と答えた人は「全く評価しない」と「あまり評価しない」をあわせて60%で否定的な人が多くなっています。事務作業のわずらわしさも原因のひとつになっていると思われます。

定額減税で年間ひとり当たり4万円の手取り収入が増える形になりますが、家計の負担増加は、6月も続いています。電気料金など光熱費、さらに食料品の値上げは民間の調査会社によりますと、6月も614品目あります。診療介護報酬の改定で初診料などが20年ぶりに引き上げられたり、年間ひとり当たり1000円の森林環境税が導入されたりと、家計を取り巻く状況は厳しさが和らぐどころか増すばかりとなっています。



© 株式会社テレビユー福島