「よかれと思って」が相手を傷つけることも ペットロスの人にかけないほうがいい言葉について専門家に聞いた

いぬ友達や身近な人が愛犬を亡くしたら……「どう接したらいいのだろう」「かけてはいけない言葉はあるのかな」と思いを巡らせる方もいるかもしれません。獣医師で動物病院専任カウンセラーの宮下ひろこ先生に、ペットロスの方に対してとくに配慮が必要な言葉を教えていただきました。

イラスト/須山奈津希

「長生きできたんだからよかったよ」「寿命だししかたないよね」

たとえ若くして亡くなろうが、平均寿命を超えて亡くなろうが、飼い主さんの悲しみの深さには比例しません。「〇才まで生きたんだからいいでしょう」というニュアンスを含まないように気をつけたほうがよいでしょう。

「どうして亡くなったの?」「何才だったの?」

突然の訃報や親しい間柄の人からの知らせであれば、亡くなった理由などを尋ねてもいいかなと思います。ただし、個人的な関心で原因を深掘りしたり話を広げたりしないこと。たとえ気になっても、そっとしておいてあげましょう。

イラスト/須山奈津希

「そんなに泣かないで」「いつまでも泣いていたら愛犬も悲しむよ」

一見励ますかのような言葉ですが、ペットロスの人にとっては「泣いていたらダメなんだ」と感じて気持ちに蓋をしてしまうことも。悲しみと向き合い、徐々に心を整理するためには思う存分泣くことも必要だと理解しましょう。

「気の毒だったね」「かわいそうなことをしたね」

愛犬がどんな最期を迎えたとしても「幸せにしてあげられたのかな」という思いや「あのときもっとこうしていたら……」という後悔はつきまとってしまうもの。同情やネガティブな共感は相手を余計に悲しくさせてしまいます。

いかがでしたか? 「相手との関係性や状況にもよりますが、一度立ち止まって、相手の気持ちを考えてみることが大切です」(宮下先生)。いつか来る「その日」のことを少しだけ理解するきっかけになりますように。

お話を伺った先生/獣医師。動物病院専任カウンセラー 宮下ひろこ先生
参考/「いぬのきもち」2024年2月号『もしも、愛犬を亡くした人が近くにいたら……』
イラスト/須山奈津希
文/ヨシノキヨミ

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