面接解禁も8割内定「もはやゴール」 採用活動が本格化 ミスマッチ防止に工夫 群馬県内企業

群馬銀行で行われているオンライン面接=3日、前橋市

 来春卒業予定の大学生らの就職活動で、政府が示す日程ルールの面接解禁日が過ぎた週明けの3日、群馬県内企業の採用活動が本格化した。遠方の学生の負担軽減策として面接のオンライン化が定着。入社後のミスマッチを防ぐ対応にも工夫を凝らす。一方、学生優位の「売り手市場」を背景に、就職情報会社の調査では、面接解禁以前に8割弱が内定を獲得し、ルールの形骸化が進んでいる。

 面接は1日に解禁された。群馬銀行(前橋市)は前年と同じ90人の採用を見込む。学生の経済的、時間的負担を減らすためのオンラインと、従来の対面を併用した複数回の面接を実施。新型コロナの5類移行から1年が過ぎ、「コロナ禍に関連させた質問を特別にすることはない」とし、同行の存在意義「パーパス」を踏まえた志望動機を尋ねるという。

 群馬県に国内唯一の自動車生産拠点があるSUBARU(スバル、東京都)は、1次面接はオンライン、最終面接は対面とする。「1次面接は遠方の学生の移動の負担、学業への影響も考慮した。最終面接では直接会うことで、当社への共感度をより高めてもらう」と意図を強調する。

 入社後のミスマッチを防ぐ取り組みも強化する。家電量販店最大手のヤマダホールディングス(高崎市)はオンラインを基本とした説明会で、業務内容や働き方を事前に伝える。同社は「学生の意思を尊重した上で各企業の動向に合わせている。さまざまな事業を展開する中で、幅広い人材に選んでもらいたい」と話す。

 スーパー大手のベイシア(前橋市)は、入社後のキャリアプランをイメージしやすくするため、先輩社員が面接で自身の会社での経験談を話すようにした。担当者は「学生が将来像を想像したり、視野を広げたりして、ミスマッチを防ぐことができれば」と期待を寄せる。

 リクルートの調査では、来春卒業予定者の内定率(5月15日時点)は78.1%と、政府が要請する日程ルールの形骸化が鮮明になっている。建設生産のヤマト(同市)は、すでに採用予定人数の半分に内定を出した。4月に始まった残業時間規制などで深刻な人手不足に直面していることが要因の一つだ。事業の中核を担う機械設備などの技術職を確保するため、3年時のインターンシップから学生との接点を増やし、採用に結び付けているという。

 県内の別の建設業の人事担当者は「優秀な人材は取り合いになるため、他社に遅れはとれない。(面接の)スタートがもはやゴールに近い」と明かし、「学生からも、『早めに終えて学業に専念できる』と好意的な声が出ている」と指摘した。

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