使用済み核燃料 中間貯蔵施設(青森・むつ市)の搬出先は六ケ所再処理工場か 国側「可能性ある」

中間貯蔵施設の安全協定案について質疑したむつ市議会=4日

 青森県むつ市の市議会は4日、全議員出席の特別委員会を開き、使用済み核燃料中間貯蔵施設(同市)の安全協定案について質疑した。委員の多くは、最長50年間の保管期限を順守した「確実な搬出」を要請。搬出先は明示されていないが、国側は日本原燃の六ケ所再処理工場を挙げ、「搬出先となる可能性がある」との見解を示した。国や事業者は、搬出先として当初見込んだ第2再処理工場の建設に関し「(状況が)変化している」と言及を避けつつ、「必要な再処理工場の稼働は確保される」と強調した。

 原発の敷地外で使用済み核燃料を一時保管する国内初の施設で、リサイクル燃料貯蔵(RFS)は9月までの事業開始を予定。県と市、RFSが結ぶ安全協定は操業の前提となる。市議会質疑を皮切りに協定案の本格的な議論が始まった。

 保管する核燃料は全て再処理工場へ運ぶ約束で、協定案は貯蔵期間を50年間と明記。質疑では「50年後に必ず搬出されることが重要」「永久貯蔵にならないか」との意見が相次いだ。搬出先などが協定案に示されていないことから、中村正志委員(自民クラブ)は「必ず搬出される確約が必要で、協定案の内容では弱いと感じる」と指摘した。

 誘致や立地協定を結んだ2000年代、国や事業者は搬出先に、六ケ所工場の後継として建設予定とした第2工場を例示。しかし東日本大震災で起きた東電福島第1原発事故を境に、第2工場は事実上白紙の状態に。佐藤武委員(無会派)は「搬出先は二転三転しており、担保をどういう形で取るのか」とただした。

 国や事業者は近年、「搬出時に稼働している再処理工場」との表現にとどまり、具体な施設を明示せずにいた。質疑で経済産業省は「六ケ所工場が稼働していれば搬出先となる可能性がある」(資源エネルギー庁担当者)と答弁。六ケ所工場は操業の目安が40年とされるが、日本原燃の増田尚宏社長が5月に「操業期間に決まりはなく(50年後でも)技術的には受け入れることができる」と述べた経緯がある。

 東電幹部は「国の方針に沿い、搬出時には必要な再処理工場の稼働が確保されると承知している」と説明。第2工場については同省担当者が「当時は『第2』という表現があったが、その点は震災前からは変化している」とした。

 ただ、六ケ所工場は規制当局の審査で足踏みが続き、完成・操業のめどが立っていない。散会後、山本知也市長は報道陣に「50年後の搬出についてしっかりと方向性が示され、一定の成果があった」と話した。

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