〈独自〉漏えい情報は「鹿児島県警の捜査不正」を告発する内容か 逮捕された前・生活安全部長 幹部による警官事件隠ぺいなどの疑い

県警本部前に立つ初代大警視川路利良の像=鹿児島市の県警本部

 職務上知り得た秘密を職を退いた後に漏らしたとして、3月まで鹿児島県警本部生活安全部長を務めた元警視正、団体職員の男(60)=鹿児島市紫原5丁目=が国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕、送検された事件を巡り、漏えいしたとされる情報は、不適切な捜査や事件処理を訴える内容とみられることが4日、南日本新聞に寄せられた情報や取材で分かった。

 取材などによると、県内の男性警察官が2023年、自宅などを訪ね個人情報を聞き取る「巡回連絡簿」を不正に使い、県内の女性に対して携帯電話で性的な内容を含むメッセージを送った可能性がある。県警は一定の捜査をしたが、何らかの理由で事件化を見送った疑いがある。

 トイレに侵入して女性を盗撮したとして性的姿態撮影処罰法違反(撮影)などで逮捕、起訴された巡査部長の男に対する不適切な捜査も訴えているとみられる。23年12月に事案を把握し、巡査部長が捜査車両を使った疑いがあったにもかかわらず、着手まで時間がかかり、捜査指揮を執った県警幹部に隠ぺいの意図があったとしている。

 守秘義務違反を問われている容疑者の逮捕、送検容疑は、県警を退職した直後の今年3月下旬、鹿児島市内で、生活安全部長在任中に入手した警察情報が印字された複数の内部文書を第三者に郵送して閲読させ、秘密を漏らした疑い。

 県警によると、警察情報には現職警察官1人の氏名や年齢、階級などと、一般人1人の氏名、年齢が含まれていた。これとは別に、警察関係者の氏名や連絡先を記した文書もあった。

 捜査資料が流出したとされる事件を巡っては、県警は4月、捜査情報を第三者に漏らした地方公務員法(守秘義務)違反容疑で巡査長の男を逮捕(同罪で起訴、懲戒免職処分)した。刑事、警務部を中心とするチームが捜査や調査を進める中で、容疑者の漏えい容疑も発覚。県警は元巡査長との共犯関係はないとし、漏えい先が同一かどうかは「明らかにできない」としている。

警察官2人の懲戒処分を発表し、謝罪する野川明輝県警本部長=5月20日、鹿児島市の県警本部

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