松川遊覧船、夏から運休 被災の護岸修復工事

能登半島地震で被災した松川の護岸=富山市本丸

  ●秋の行楽直撃「大変厳しい」

 富山市中心部を流れる松川で運航する松川遊覧船が8月にも年内の営業を休止することが4日、分かった。能登半島地震で崩れた松川護岸の修復工事が始まるためで、例年よりも4カ月前倒しで営業を終えることになる。おわら風の盆で全国から観光客が訪れる秋の行楽シーズンに運航できなくなり、関係者は「大変厳しい」と嘆いている。

 松川遊覧船は桜の名所として知られる松川べりの眺めを満喫でき、舟橋からいたち川との合流地点までの片道約1.2キロを往復する城下町巡りを楽しめる。

 運航会社の富山観光遊覧船(富山市)によると、例年は桜の開花に合わせて3月から営業を始め、11月末まで運航する。今年は、松川を管理する富山県が8月ごろから来年3月まで護岸の修復工事を行うため、工期中は営業できなくなる。同社は既に8月以降の団体客の予約を受け付けていない。

 松川の護岸は能登半島地震の影響でのり面が崩れたり、大きな亀裂が入ったりしている場所が多数あり、ブルーシートで覆われている。松川べりの市道は5月末に通行止めが解除されたが、松川沿いの歩道は立ち入り禁止が続いている。

 県富山土木センターによると、工区は安住橋からいたち川との合流地点までの約700メートルが中心となる。工事は長期間かかる見通しで、来年4~7月ごろに一度中断した後に再開させる予定となっている。

  ●県、花見避け工期設定

 県関係者によると、護岸工事は川をせき止めて重機を使って進めるため、遊覧船は工期中、全く運航ができなくなる。花見シーズンに大勢の人が松川べりに訪れることに配慮し、工事の中断期間を設けたとみられる。

 富山観光遊覧船によると、松川遊覧船の売り上げは3~5月の花見シーズンが全体の6割ほどを占める。次いで利用客が多いのが秋の行楽シーズンで、特に9月1~3日の越中八尾おわら風の盆の時期には全国から訪れた観光客が利用している。

 中村珠太専務(50)は「長期間運航できないのはかなり厳しい。少しでも早く工事が終わるようにしてもらいたい」と話した。松川遊覧船の船着き場で営業している松川茶屋は営業を続ける。

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