坂茂さん設計の仮設中止 珠洲、事業費見合わず 大谷と飯田で計画

 珠洲市の泉谷満寿裕市長は1日、大谷小中体育館で開かれた「復興計画意見交換会」で、石川県が大谷小中と飯田小グラウンドで着工した世界的建築家坂茂(ばん・しげる)さん設計の仮設住宅について、事業費が見合わなくなったとして中止になったと明らかにした。能登半島先端の遠隔地での工事のため資材輸送や作業員の宿泊で費用がかさむことに加え、資材高騰で事業費が膨らんだとみられる。

 泉谷市長は意見交換会後、記者団の取材に、円安による資材高騰などが背景との見方を示し「県が難しいと判断した」と述べた。坂さん設計で計133戸を整備予定だった。

 大谷小中と飯田小での仮設住宅整備については、業者を変更した上で8月の完成に向け工事が進められるとした。

 坂さんは昨年秋の奥能登国際芸術祭2023(北國新聞社特別協力)に合わせ、珠洲市大谷町で開業した「潮騒(しおさい)レストラン」の設計を手掛けた。

 意見交換会には住民約70人が出席し、早期の断水解消や国道249号など道路復旧を求める意見が出た。

© 株式会社北國新聞社