富山県の井波彫刻が映画に“出演” 7日公開「かくしごと」、仏師が俳優に演技指導も

映画に登場する仏像を紹介する関さん(右)と紺野さん

 富山県南砺市本町(井波)に工房を構える井波彫刻の仏師、関こう雲さん(51)が手がけた木彫りの仏像が、7日に全国公開される映画「かくしごと」に登場する。出演俳優が彫刻を施すシーンの演技指導も担当。関さんは「井波で教わったことをさまざまな形で生かすことができ、うれしい」と話す。

 関さんは高校卒業後、日展作家で仏師の故斉藤こう琳(りん)さんの下で修業。独立後は東京にも工房を設け、仏像制作や後進の育成の傍ら、さまざまな俳優に彫刻の演技を指導した。こうした経験を買われ、弟弟子の紺野こう慶さん(44)と今回の映画に携わることになった。

 「かくしごと」は認知症を患う父と生活する女性が事故で記憶を失った少年と出会い、この少年と暮らし始めるというストーリー。女性は杏さん、父は奥田瑛二さん、少年は中須翔真さんが演じる。

 仏像は奥田さん演じる父が趣味で手がけた作品として50体以上が登場する。いずれも関さん、紺野さんらが制作したもので、場面に臨場感を出すため、自身の使い込んだ彫刻刀や作業で出る木くずも貸し出した。

 演技指導は2022年7、8月に工房や撮影現場で行い、奥田さん、中須さんに彫る姿勢や、のみの持ち方などを伝えた。「短い期間でものにしようとする姿勢に刺激を受けた。映画を通じ、井波彫刻の技や技術がたくさんの人に伝わってほしい」と話している。

 映画は、県内では富山市のJMAXシアターとやまで公開される。

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