バレー日本の20歳逸材・甲斐優斗に求められる五輪行きの条件 高評価する指揮官「価値を示しなさい」

イラン戦でプレーした甲斐優斗【写真:VNL提供】

買取大吉 バレーボールネーションズリーグ2024福岡大会

バレーボールネーションズリーグ(VNL)2024福岡大会(西日本総合展示場)は4日、男子の予選ラウンド第2週が開幕。世界ランキング4位の日本代表は同16位イランに3-0(25-23、25-22、25-17)で白星発進した。最後のポイントを決めたのはチーム最年少の20歳、アウトサイドヒッターの甲斐優斗。フィリップ・ブラン監督も期待する逸材は、試合後の取材で「去年より成長した姿を見せられるように」と静かな口調で意気込んだ。

大入りの観客で沸いた福岡大会初日。最後を締めたのは若き才能だった。日本が2セットを先取し、第3セットも24-17とマッチポイント。途中出場の甲斐が放った強烈なサーブにイランは反応できず、鮮やかなサービスエースとなった。第2セットにも打点の高いスパイクを決め「まさか上がると思っていなかった。(セッターの)関田さんの優しさがあって、それを決めきることができてよかった」と安堵した。

2003年生まれの甲斐は身長2メートルのアウトサイドヒッター。23-24シーズンは専大に所属しながらフランスリーグ・パリでプレーした。VNL予選ラウンド第1週のブラジル大会ではスタメン出場の機会もあり、東京五輪銅メダルの強豪アルゼンチンを相手に17得点、セルビア戦でも10得点をマークしている。

ブラン監督は会見で「彼の今日のプレーはまさに私が期待したものだった。エースを狙えるサーブ、相手のブロッカーが届かない高さのスパイク。もう少しブロックでチームに貢献できればより良いと思う」と評価。甲斐本人も「ブラン監督からはブロックを求められている。そこで結果を出していければいい」と課題を理解している。

パリ五輪では1972年ミュンヘン五輪以来52年ぶりのメダル獲得を狙う日本。代表入りは容易ではない。ブラン監督は「もし五輪に行きたいのであれば、価値があることを示しなさいと伝えた」と明かす。「五輪に連れて行く選手は、ただ才能あるだけで連れていくことはない。自分の特徴をいかに出し切るかが重要。それを彼に要求した」とも説明している。

確かな存在感を放つ背番号15。試合後に応じたミックスゾーンの取材では、冷静な口ぶりが目立った。「これから試合でいろんなプレーを見せていきたい。ブラジルラウンドで多く試合に出ることができて、自信をつけることができた」。海外で実力を示した石川祐希、高橋藍らを擁する強力な攻撃陣に、また楽しみな存在が現れた。

THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi

© 株式会社Creative2