ドローン配送特区指定 福島県南相馬市のロボテス周辺 市街地上空 飛行の規制緩和 政府、国内初

 政府は4日、国家戦略特区諮問会議を開き、規制緩和を地域限定で先行実施する地域課題解決連携特区(連携絆特区)に福島・長崎両県と宮城・熊本両県の二つの特区を指定すると決めた。連携絆特区の指定は初めて。福島・長崎はドローン技術の実証事業で、福島県では南相馬市の福島ロボットテストフィールド(ロボテス)周辺を対象に、市街地でのドローン配送の実現に向けて今年度中に規制を緩和する。県は浜通りへの産業集積や買い物困難地域の課題解決につなげたい考えだ。

 特区指定による規制緩和の主な内容は【下記】の通り。配送用のドローンの飛行エリアは住宅地やロボテスがある南相馬市原町区の国道6号以東を想定。指定を受けて県は、早ければ2025(令和7)年度にも牛丼店「すき家」を全国展開するゼンショーホールディングスや南相馬市のドローン製造会社「イームズロボティクス」、ロボテスと連携し、商品の配送事業を始める。有人地帯でのドローンの目視外飛行「レベル4」で客の注文に応じたドローンでの配送を実証する。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興に歩む浜通りには福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想によってドローン関連の開発企業が数多く進出している。実証フィールドとしての設備が整ったロボテスもあり、特区として適地と政府は判断した。福島県とともに特区指定を受ける長崎県は日本一の有人離島数を誇り、五島列島で医薬品のドローン配送が進むなど先進地として知られる。離島は買い物困難地域でもあり、ドローン配送の需要が高い長崎県と福島県が連携し、ドローン配送の実現に向けて双方の知見を共有する。

 県は全国に先駆けてドローン配送の実証地域となることでドローン関連企業や配送関連企業の進出などに弾みがつくとみている。浜通りだけでなく中山間地域も含めた県内外へのドローン配送普及への貢献も目指す。県次世代産業課は「特区指定で被災地を含めた県内の産業活性化につながってほしい」としている。

 宮城・熊本両県は半導体関連産業に従事する外国人材の受け入れ円滑化などに取り組む。

【特区指定に伴う規制緩和の主な内容】

○有人地帯の建物上空でドローンを目視外で飛ばす際(レベル4飛行)には細かい飛行経路(線)を国土交通省に申請する必要があったが、特区指定によってエリア(面)での申請で飛行が可能となる

○レベル4飛行をする際、複数の機体が同一日時に同一エリアを飛行することはできなかったが、特区指定によって可能となる

○地上からの人による監視をせずにドローンに付けたカメラで安全を確認しながら無人地帯上空を飛ぶ(レベル3.5飛行)場合、政府は建物上空の飛行の可否をこれまで示していなかったが、特区でのドローン配送の実証に向け、レベル3.5飛行でも無人であることが確認できれば住宅地上空も飛行できる(全国共通)

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