心つなごう/能登地震 漆の縁、輪島塗応援 福島県会津若松市の平竹祥子さん 14日から展示会

輪島塗の技術を未来につなぎたいと話す平竹さん

 伝統の漆が会津地方と能登半島をつなぐ。能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市で技術を学んだ漆芸作家の平竹祥子さん(51)=福島県会津若松市=は14日から、会津若松市で能登半島応援展示会を開く。伝統工芸「輪島塗」の技術伝承者を養成する、石川県輪島漆芸技術研修所の卒業生。同窓の仲間や元講師ら10人が作品を寄せ、売り上げは輪島塗の関係団体に寄付する。地震発生から半年を前に、11日から平竹さんらが輪島を訪れ、見聞きした被災地の現状を会場で紹介する。「日本の伝統工芸を未来につなげたい」と力を込める。

 同研修所は重要無形文化財保持者(人間国宝)の技術伝承や調査研究のため、文化庁の助成を受けて石川県が設置している。入学金や授業料は不要で、人間国宝をはじめ多彩な講師陣から漆芸の技を学べる。

 平竹さんは盛岡市出身。都内の短大を卒業後、同研修所で5年間、輪島塗の技術を学んだ。結婚後、海外在住などを経て2020(令和2)年から会津若松市で暮らし、輪島塗の技法を用いた創作活動をしている。

 元日の能登半島地震の被害に衝撃を受けた。慣れ親しんだ土地の変わり果てた姿に目を疑った。「自分には何ができるのだろう」。寄付をしたり、物産展に足を運んだりしながら被災地を応援してきた。

 3月、同研修所卒業生で親交があった金宣和(キム・ソンファ)さん(米国在住)から連絡を受けた。「作品を日本に送り、被災地への寄付のために販売できないか」との相談だった。「離れていても輪島を思う心は変わらない」。金さんの連絡をきっかけに、平竹さんは応援展示会の開催を決めた。会津塗師の卒業生や元講師に出品を依頼すると、快く引き受けてくれた。

 平竹さんは11、12の両日に金さんや知人と石川県に入り、研修所や事業所を回る。希望があれば現地作家の作品を預かり、応援展示会で販売する。応援展示会は有志の作家10人が会津塗の作品も含め、15点を寄せる。会場に募金箱を設置し、作品の売り上げと浄財は同研修所と輪島漆器商工業協同組合に寄付する。

 3日には輪島市などで再び最大震度5強の地震があった。被災地の産業再建には長期的な支援が必要だと感じている。「私たちの作品は輪島からいただいた技術でできている。少しでも恩返しになればうれしい」と話している。

■初日は能登の現状報告会も

 応援展示会は14日から30日まで、会津若松市のスペース・アルテマイスターで開かれる。14日は午後4時開場で、能登半島地震の現状報告会を催す。15日以降の開場時間は午前10時から午後6時まで。作品を展示販売する他、被災地や輪島塗の現状を伝えるパネルを展示する。

 問い合わせはアルテマイスター保志 電話0242(27)9367へ。

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