土偶作り続けて500体、田野さん「素晴らしさ知って」 専門家も一目置く精巧さ 大多喜

両手に500体目の土偶(写真右)と約15年半前に作った1体目の土偶を持つ田野さん=大多喜町

 大多喜町のアトリエで縄文時代の土偶の精巧な複製品を作っている田野紀代子さん(73)が、約15年半かけて500体目を完成させた。交流のある考古学研究者や知人を招いて記念セレモニーを開いた田野さんは「(縄文時代には)素晴らしいものがあると知ってもらいたい」と願った。

 田野さんは、市民向けの土器づくり講座への参加をきっかけに土偶に興味を持ち、2008年9月に1体目を製作した。「土偶は縄文人の精神性を表している」と魅了され、素材や作り方を調べて忠実に再現してきた。その精巧さは考古学の専門家も一目置くほど。作品は県内外の施設で展示されてきた。

 300体目は長野県の「縄文のビーナス」、400体目は青森県の「合掌土偶」と呼ばれるいずれも国宝の土偶を複製。500体目は、1体目と同じ山梨県の土偶をより精巧に作り直した。

 大多喜町大田代のアトリエ「土偶ZANMAI」では、作品約450体を展示。中でも地元千葉県の土偶が約50体と充実している。

 田野さんは「千葉にこんなに素晴らしいものがあると知ってもらいたい」と語り、今後は「どういう粘土で作られているのか分析し、本物に近い素材でどんどん作っていきたい」と尽きない意欲を見せた。

 アトリエ見学は金、土、日曜日。Eメール(0521himeko@gmail.com)で田野さんに事前連絡が必要。

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