「ドローン飛行」規制緩和 有人地帯で物資輸送可能に 長崎県初の国家戦略特区

「そらいいな」が昨年9月実施したデモ飛行で、五島市からの荷物を投下する固定翼型ドローン=長崎市神ノ島3丁目

 政府の国家戦略特区諮問会議は4日、規制緩和を地域限定で先行実施する「地域課題解決連携特区(連携絆特区)」に、長崎・福島両県と宮城・熊本両県の二つの特区を指定することを決めた。長崎県ではドローンの飛行規制が緩和され、有人地帯でドローンを目視外で飛ばす「レベル4飛行」の許可が受けやすくなる。県は物資輸送など多分野で活用を進めたいとしている。
 国家戦略特区はこれまでに13区域あり、本県の指定は今回が初めて。
 本県などは「新技術実装連携“絆”特区」。県によると、レベル4飛行に使われる機体の認証手続きには、多数の試験項目や長期にわたる審査が必要。飛行する際も、個別に飛行ルートを特定し申請する必要があった。指定により、海外で認証取得した機体の手続きを簡略化し、飛行申請もルートを特定せずエリア単位で可能とする。
 県内では「そらいいな」(五島市)が、五島地域でドローンによる医薬品などの配送事業を展開している。県によると、これまでのレベル3飛行では無人地帯の上空を飛ばす必要があり、物資投下地点が港湾部などに限られていた。レベル4では街中に近いエリアにも投下できるようになり、オンデマンド配送の利便性が高まるという。
 県は本年度当初予算に「空飛ぶ未来を拓(ひら)くドローンワールドプロジェクト」として7100万円を計上。ドローン活用の先進地を目指している。国家戦略特区の指定により農業や建設、教育などの多分野で、ドローン活用の実証実験に取り組む企業を呼び込みたい考えだ。
 決定を受け大石賢吾知事は「新しい長崎県づくりの幕開けにワクワクを抑えきれない。本県が全国でも見ることができない暮らしを実現していくための大きな一歩になる」とのコメントを出した。
 連携絆特区指定は地理的に離れた自治体が協力し、政策推進の迅速化を目指す狙い。福島県でもドローン技術の実証事業を重ねている。宮城・熊本では半導体関連産業が集積。外国人材の受け入れ拡大のために在留資格の審査迅速化や、半導体関連人材の早期育成に取り組む。

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