元請けはベスタス、五洋建設 西海・江島沖洋上風力発電計画 「地元発注業務多い」 長崎

江島沖の洋上風力発電事業を紹介した島田氏の記念講演=長崎市出島町、県農協会館

 長崎県西海市江島沖で洋上風力発電事業を計画している合同会社みらいえのしま(同市)の島田茂東社長は5月31日、風車本体の製造や据え付けをデンマークのメーカー世界大手ベスタス、基礎部分の洋上工事を五洋建設(東京)が元請けとしてそれぞれ担うと明らかにした。関連工事や資機材の供給、運転、メンテナンスなどで「地元に発注する可能性がある業務は多い」と述べた。
 住友商事と東京電力リニューアブルパワーでつくるコンソーシアム(共同事業体)が昨年末、政府による入札で落札。今年3月末、合同会社を設立した。
 計画では、風車のブレード(羽根)が直径236メートル、海面からの高さ約270メートル。世界最大級の出力1.5万キロワットを28基設置し、総出力は42万キロワット。2029年8月の運転開始を目指している。海底ケーブルでつなぎ九州内で売電する。
 島田氏によると、ベスタスが海外でブレードやナセル(発電設備)、タワーを製造。五洋建設は海底に着床するモノパイル(土台)や、それとタワーを接続するトランジションピースを設置する。現場の地盤が固いため、支柱を打ち込む一般的な工法ではなく、掘削する工法を採用。事例は少ないが、住商はフランスで実績があるという。
 建設基地港は北九州港だが、船舶での輸送時は長崎港を経由し、保守メンテナンス拠点港は西海市内を予定。24年度から約2年かけて元請け2社がサプライヤー(供給元)を選定する。島田氏は「地元企業の基盤を最大限活用する。できる限り一緒にやっていきたい」と期待を寄せた。江島に整備するメンテナンス用の拠点には、温浴施設付き宿泊施設やカフェ、売店などを併設し、島の活性化に貢献する意向も示した。
 この日は、海洋再生可能エネルギー関連産業の県内集積を目指すNPO法人、長崎海洋産業クラスター形成推進協議会(坂井俊之理事長)が長崎市内で総会を開催。島田氏が記念講演をした。

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