長崎IR不認定「熟度低い計画 問題」 国の審査委が指摘

 長崎県が佐世保市への誘致を目指したカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の整備計画を巡り、昨年12月初めの国の審査委員会で「熟度の低い計画が、今後の地方都市のIRの基準となるのは問題」と委員が指摘していたことが4日、分かった。国は同月末、資金調達の確実性やIR事業者の運営能力などを疑問視して長崎IR計画を認定しないと発表した。
 審査委は外部有識者7人で構成。観光庁が同日、未公開だった昨年12月までの長崎IR関連分の議事要旨をホームページで公開した。
 これによると、同月1日の会合では、海外企業からコミットメントレター(出資・融資の意思表明書)などを集めて資金調達する長崎IRの手法について「資金提供の実態がみえない」といった否定的な意見が相次いだ。IR事業者に対しても「十分な能力を有しているのか釈然としない」と疑問視する声が出た。
 「(今回の審査は)厳しい条件をクリアした大阪(のIR)が基準になるのではないか」との見解も示され、長崎IRの認定は見送る方向性が強まったことがうかがえる。
 IR誘致を巡っては、昨年4月に米カジノ大手とオリックスを中核とする大阪府・市の計画が認定された一方、長崎IRは継続審査となった。県は昨年秋に国側のヒアリングに2度出席して計画内容を説明したが、理解を得られなかった。

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