イタリアンレストラン&バー「B&W」 おばあちゃんが作る地元産野菜にこだわり【北九州市小倉南区】

小倉南区長行のイタリアンレストラン&バー「B&W(ビーアンドダブリュー)」は、小倉方面から平尾台へ向かう国道322号線沿いにあります。

農園レストラン”と言われるほど野菜にこだわる同店。使用している野菜は、小倉南区にある「岡村農園」のおばあちゃんが主となって、同店のお客さんのためだけに育てているそうです。

今回はそんなB&Wで実際に食事をしつつ、お店の方にお話を聞いてきました。

農園スタッフも仲間 年間を通して約40種類ほどの野菜を提供

扉をあけて中に入ると、右手にバーカウンターとテーブル席が5つほどあります。

取材時、テーブル席は満席状態で、同店の人気ぶりがうかがえました。ちなみに週末は予約したうえで来店するのがおすすめのようです。

B&Wが岡村農園の野菜を使用するようになったのは、オープンして1年くらいの時に岡村農園の方がお客さんとして来店したことがきっかけだったそうです。その後、野菜についていろいろと教えてもらったり、実際に農園を手伝いに行ったりしているうちに、今度は岡村農園のオーナーの奥さんがお店に手伝いにきてくれるようになり、今ではその娘さんもお店を手伝ってくれているのだとか。

岡村農園は「新鮮な野菜やスーパーではなかなか販売されていない野菜を味わってほしい」との思いから、年間を通して約40種類ほどの野菜を栽培。B&Wでは大葉春菊やトマトなど岡村農園の野菜を使用しているのはもちろん、みんなから“おばあちゃん”として親しまれている農園オーナーのお母さんが作る野菜もメニューに取り入れています。

おばあちゃんが家庭菜園で使っている場所が、お店で使うビーツやスイスチャード、黒人参など珍しい野菜を栽培するのに適していたことから、現在もおばあちゃんが栽培してくれているのだとか。

取材当日もホールを担当していた岡村農園の娘さん(おばあちゃんのお孫さん)が日々の出来事を聞かせてくれました。

小倉南区という自然豊かな土地柄から、野生の猿やイノシシも畑の恵みをいただきに来てしまうため、おばあちゃんだけでなく、農園スタッフのみんなで協力しながら岡村農園を大切に守っているのだとか。

B&Wのオーナーは、農園のおばあちゃんや協力してくれる農園スタッフも絆の深いレストランの仲間だと想っているといいます。

ランチタイムはコースのみ メインはピザ・パスタ・ドリアから選択可

ランチタイムはランチコース(2200円)のみ。コースの内容はアンティパスト(前菜)、スープ、プリモピアット(メイン料理)、ドルチェ、コーヒーです。

コース料理の注文は中学生以上となっており、小学生以下はコースでなくても単品追加メニューの中から注文ができるそうです。

メイン料理は、ピザ・パスタ・ドリアの3種類から1つ選ぶスタイル。それぞれ2~3種類の中から選ぶことができます。

訪問時は、ピザがマルゲリータクワトロフォルマッジ(4種のチーズとはちみつのピザ)バルダーナ(ピザの上にのったごぼうの食感と香りが楽しめる同店人気のピザ)の3種類、パスタがペペロンチーノ本日のおまかせの2種類、ドリアが半熟たまごイカもち明太子本日のおまかせの3種類でした。

「本日のおまかせドリア」には小倉南区で栽培が盛んな大葉春菊のペーストを使っているということで、筆者はこちらをお願いしました。

鮮やかな見た目のビーツのスープ 前菜は新鮮野菜がたっぷり

オーダーからほどなくして、芸術的とも言える見た目の鮮やかな1皿が運ばれてきました。白の大皿に映えるビーツのスープです。

ビーツと聞いて筆者が思い浮かぶのは、ロシア料理のボルシチくらいでしょうか。日常ではなかなかお目にかかる機会の少ない野菜です。

あまり経験したことのないスープに「どんな味なのか……」と、ドキドキしながら口へ運ぶと、1口食べて「美味しい!」と叫びたくなるほどでした。スープはキャベツ、大根、セロリなどの野菜からとった「野菜だし」をベースに作られているそうで、野菜の旨味がぎゅっとつまっており、心がほっこりする味わいです。

続いて運ばれてきた前菜も、農園の恵みを思わせる様々な種類の野菜が乗っています。

スナップえんどうはパリっとした食感を楽しめます。ビーツのチップスは甘みがあり、数時間前まで農園で栽培されていた新鮮な野菜だからこそ作り出せる特別な味わいを感じました。

小倉南区の特産品・大葉春菊を生かしたドリア 紅甘夏の生搾りジュースも絶品

メインのドリアは、ベーコンとアボガド、大葉春菊のペーストが入った柔らかいテイストの1品。ごはんが入っているので、しっかりボリュームもありました。

大葉春菊はもう収穫時期を終えるため、これからの季節は農園直送の完熟トマトを使ったメニューが登場するそうです。そちらも楽しみですね。

また、小倉南区産の紅甘夏を使った生搾りのジュースがフレッシュで格別に美味しく、感動しました。季節にあわせたドリンクも同店の魅力のようです。

デザートへのこだわり 想いがこもった<竹炭のスノーボール>

料理の最後は楽しみにしていたデザート。この日はジンジャーケーキ、パンナコッタ、竹炭のスノーボールでした。

筆者が驚いたのは、昨今問題となっている放置竹林に目を向け「竹林を保護しながら伐採した竹で何かできないか……」という思いから開発された「竹炭パウダー」を使用し、試行錯誤して作られた竹炭のスノーボール。その他のデザートも全てスタッフが心を込めて手作りしており、美味しいのはもちろんのこと、どれも心と身体に優しいと感じます。

竹炭パウダーやお料理へのこだわりは、デザートの写真を撮影し忘れるほど興味深いお話でした。

(別日に提供されたパンナコッタとチーズケーキ 苺ソースのデザート)

デザートも日によってメニューが違うとのことで、他のデザートについて伺ったところ、パンナコッタとチーズケーキに苺ソースが添えられたメニューもあるそうです。

10年目の年をむかえて~これからのこと~

2024年1月に9周年を迎えた同店。10年目の年を迎え、これまでとこれからのことをチーフマネージャーの角さんに伺いました。

開店当初から「我が家へようこそ」をテーマに人と人とのつながりを大切にしてきたという同店。この地域では昔から“結をむすぶ”という言葉があるといい、「困っている人がいたら自然と助ける人がいて、人と人との繋がり、あたたかさのおかげで今があります。自分たちで育て、収穫した野菜たちをお客様のもとへ届け、お客様が喜ばれる姿を目にすることが、何よりも嬉しいです」と、熱く語ってくれました。

同店では、コロナ禍の困窮者らにむけて「応援ピザ」と銘打ってピザの無料配布をおこなったり、前述の竹炭パウダーを使って市内の高校とコラボしたり、北九州マラソンで竹炭ピザを無償提供したりと、これまでも様々な取り組みを行っています。

「北九州のために何か役立つことができれば……」との温かい想いがつまった愛あるお店でした。

<Italian Bar B&W>
■住所/北九州市小倉南区長行東1-9-7
■定休日/水曜日、火曜日のディナー営業は休み(最新の情報はお店のInstagramでご確認ください。)
■営業時間/ランチ=11:00~15:00(Lo14:30)、ディナー=18:30~22:00(Lo21:00)
※金・土曜日はBARタイムあり、23時まで営業。フードのラストオーダーは21時、ドリンクは22時30分までオーダー可
■駐車場/6台有

詳細は、B&Wのインスタグラムで確認できます。

※2024年6月5日現在の情報です

(ライター・kohalu.7)

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